<原著>直腸癌に対する低位前方切除術におけるJ型結腸嚢再建術と排便困難の関連
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
直腸癌に対する低位前方切除術の排便機能はJ型結腸嚢再建(J)を用いることで従来の結腸・直腸(肛門管)端々吻合(ストレート再建)より改善される.しかしJの唯一の欠点に排便困難があり, この原因は結腸嚢の大きさと関係が深く, とくに大きな結腸嚢が排便困難をもたらすことが報告されている.結腸嚢の大きさと排便困難の関連を検討した.結腸の折り返しの長さ10cmのJ(10J)26例と5cmのJ(5J)27例の術後3月, 1年, 2年の結腸嚢造影所見を比較し, 排便機能との関連性をみた.排便機能は術後1年に質問表を使った問診とバルーン排出テスト及び生理食塩水排出テストによる排出能で評価した.正面像で結腸嚢の最大横径はすべての時期で10Jは5Jより有意に大きかった.10J, 5Jともに術後1年は3月より有意に大きいが, 10Jの拡大率は1.9倍で5Jの1.4倍に比べ有意に大きかった.結腸嚢の最大横径は10J, 5Jともに術後1年と2年に差はなかった.側面像で結腸嚢長軸と水平線のなす角度はすべての時期で10Jは5Jより小さかった.10J, 5Jともに術後1年は3月より有意に小さいが, 術後2年と1年に差はなかった.術後2年の10J4例(15%)に直腸瘤様突出がみられた.排便困難の愁訴は10Jが5Jよりも有意に多く, バルーン排出テスト及び生理食塩水排出テストで判定した10Jの排出能は5Jよりも有意に不良であった.大きな結腸嚢作製でみられる排便困難に術後1年までにおこる結腸嚢の過膨張と結腸嚢長軸の水平化が関与する.排便困難による強いいきみのため術後2年に直腸瘤様突出が出現する.
- 1999-06-25
著者
関連論文
- 下部直腸癌に対する内・外括約筋切除を伴う肛門温存手術
- 0578 下部直腸癌a1・a2症例における筋層以深への浸潤距離の臨床病理学的意義(大腸悪性14,一般演題,第61回日本消化器外科学会定期学術総会)
- O-2-224 当院における腹腔鏡補助下大腸切除術 : いかに効率よく手術を行うか?年次推移による検討(大腸 術式手技2,一般演題(口演),第63回日本消化器外科学会総会)
- P-2-502 腹腔鏡補助下大腸切除術の現状と展望(大腸・肛門 鏡視下手術1,一般演題(ポスター),第62回日本消化器外科学会定期学術総会)
- HP-115-6 下部直腸癌に対する肛門温存手術の手術成績(大腸がん(臨床5),ハイブリッドポスター,第109回日本外科学会定期学術集会)
- HP-191-7 高齢者大腸癌の手術療法と化学療法の比較(大腸がん(パス:高齢者医療),ハイブリッドポスター,第109回日本外科学会定期学術集会)
- HP-195-1 大腸癌治癒切除後Intensive Surveillanceの成績(大腸癌(手術と予後),ハイブリッドポスター,第109回日本外科学会定期学術集会)
- SF-081-5 大腸癌原発組織の遺伝子発現プロファイル解析による異時性肝・肺転移の予測(大腸がん(遺伝子診断他),サージカルフォーラム,第109回日本外科学会定期学術集会)
- HP-195-7 StageII結腸癌の予後についての検討(大腸癌(手術と予後),ハイブリッドポスター,第109回日本外科学会定期学術集会)
- 汎発性腹膜炎のため大腸亜全摘術を余儀なくされた偽膜性大腸炎の1例
- P-1-658 StageII結腸癌における再発リスクと補助化学療法の適応について(大腸悪性7,一般演題(ポスター),第63回日本消化器外科学会総会)
- O-2-426 結腸癌主幹動脈流入部位別の至適DM・PMと主幹動脈結紮レベル(大腸 悪性6,一般演題(口演),第63回日本消化器外科学会総会)
- WS-3-2 大腸癌肝転移に対する肝切除後補助化学療法を用いた集学的戦略(ワークショップ3 再発腫瘍の外科治療法および集学的治療方針-大腸・肛門-,第63回日本消化器外科学会総会)
- SF-032-2 直腸癌低位前方切除におけるJ型結腸嚢再建とストレート再建 : 長期排便機能の経時的変化の比較(第108回日本外科学会定期学術集会)
- P-2-455 直腸癌術後に発症した潰瘍性大腸炎の2例(大腸・肛門 炎症性腸疾患1,一般演題(ポスター),第62回日本消化器外科学会定期学術総会)
- P-1-498 下部直腸癌に対する経肛門腹式直腸切除術の治療成績(大腸・肛門 下部直腸の手術,一般演題(ポスター),第62回日本消化器外科学会定期学術総会)
- W-7-5 直腸癌低位前方切除におけるJ型結腸嚢再建による長期排便機能改善(ワークショップ7 下部消化管術後の機能評価と術式選択,第62回日本消化器外科学会定期学術総会)
- PD-4-2 クリアリング法による直腸癌肛門側リンパ節転移からみた全直腸間膜切除の意義(パネルディスカッション4 直腸癌手術におけるtotal mesorectal excision(TME)の治療成績,第62回日本消化器外科学会定期学術総会)
- DP-200-6 高齢者直腸癌に対する拡大手術と機能温存手術の選択(第107回日本外科学会定期学術集会)
- DP-117-6 pT3N0下部直腸癌における筋層以深への浸潤距離の臨床病理学的意義(第107回日本外科学会定期学術集会)
- 多発性肝転移に対してラジオ波焼灼療法が奏功した直腸カルチノイドの1例
- 1895 大腸癌多発肝転移の治療戦略(大腸癌転移8(肝転移),一般演題,第61回日本消化器外科学会定期学術総会)
- 1828 固有筋層を越えるn0結腸癌の予後の検討(大腸癌転移1,一般演題,第61回日本消化器外科学会定期学術総会)
- 1765 stage II大腸癌における化学療法の有用性と予後について(大腸化学療法2,一般演題,第61回日本消化器外科学会定期学術総会)
- 1697 高齢者直腸癌に対するJ型結腸嚢再建の長期排便機能(大腸手術5(機能温存),一般演題,第61回日本消化器外科学会定期学術総会)
- 直腸癌低位前方切除におけるJ型結腸嚢再建による長期排便機能改善のエビデンス
- 超高齢者腹腔鏡手術の利点と欠点(全般11, 第60回日本消化器外科学会総会)
- リンパ節転移陰性結腸癌の術後再発危険因子(大腸16, 第60回日本消化器外科学会総会)
- 大腸癌における Opn, CD68, VEGF発現からみた多変量解析による肝転移危険因子の検討(大腸5, 第60回日本消化器外科学会総会)
- 高齢者直腸癌手術の問題点と対策(第105回日本外科学会定期学術集会)
- 進行直腸癌術後局所再発に対する手術症例の長期予後(第105回日本外科学会定期学術集会)
- 23.当教室における肝切除例の検討
- 208 大腸癌における laminin, type IV collagen の免疫組織学的研究(第33回日本消化器外科学会総会)
- 23.大腸癌におけるlaminin, type IV collagenの免疫組織学的研究
- OP-136-2 主幹動脈流入部位を考慮した結腸癌の至適切除範囲(大腸手術手技,一般口演,第110回日本外科学会定期学術集会)
- P-1-271 StageII下部直腸癌における筋層外浸潤と予後についての検討(大腸癌手術1,一般演題(ポスター),第64回日本消化器外科学会総会)
- PD-7-9 直腸癌手術における長期排便機能からみたJ型結腸嚢再建の意義(パネルディスカッション7 直腸癌におけるPouch operationとその成績,第64回日本消化器外科学会総会)
- SY-6-5 リンパ節転移陽性局所進展大腸癌に対する骨盤内臓全摘術の治療成績とQOL(シンポジウム6 大腸癌隣接臓器浸潤の診断と治療成績,第64回日本消化器外科学会総会)
- PP1996 左側大腸癌イレウスに対する経肛門的減圧チューブの有用性と問題点
- PP1269 J型結腸嚢再建と排便困難の関連 : 結腸嚢造影による検討
- PL11-7 直腸癌に対するJ型結腸嚢再建の適応と長期排便機能
- 557 大腸癌リンパ節分類の比較 : とくにTNM分類と取り扱い規約分類について(第37回日本消化器外科学会総会)
- PP307049 J型結腸嚢再建でみられる排便困難とpouch-horizontal angleの関連 : 結腸襄造影による検討
- PP307048 直腸癌に対するJ型結腸嚢再建の適応と長期排便機能
- SF-101-5 大腸癌肝転移治療に対して肝動注と全身化学療法を組み合わせた成績(第108回日本外科学会定期学術集会)
- 隆起性病変を呈した回盲部単純性潰瘍の1例
- 125 直腸癌術前照射と神経浸潤(第52回日本消化器外科学会総会)
- 術前放射線療法が直腸癌神経浸潤と予後に与える影響
- 基底膜形成大腸癌の肝転移メカニズムと再発予防のprospective studyの結果
- 多彩な組織型を呈した肛門管類基底細胞癌の1例
- cDNAアレイを用いた大腸癌異時性肝転移の予測
- 直腸の悪性リンパ腫と腺癌の衝突腫瘍の1例
- J型結腸嚢再建におけるpouch-horizontal angleの意義 : 排便困難との関連について
- 23. cDNAアレイ情報のニューラルネットワーク解析による大腸癌肝転移の予測(第53回近畿大学医学会学術講演会)
- cDNAアレイ情報のニューラルネットワーク解析による大腸癌肝転移の予測
- 左側大腸癌イレウスに対する経肛門的イレウス管の有用性と問題点
- PPS-1-214 大腸癌術後の内視鏡検査の有用性(大腸化学療法1)
- PPS-1-145 大腸癌に対する腹腔鏡下手術の適応(大腸鏡視下手術1)
- OP-1-067 直腸癌に対するpouch operationによる長期(5年)QOL向上(QOL)
- PS-198-2 リンパ節転移陽性局所進展癌に対する骨盤内臓全摘術の適応と社会復帰状況
- PS-040-1 腹腔鏡下結腸癌手術で根治性を損なわない切除範囲
- 所属リンパ節病変を伴う直腸子宮内膜症の1例
- 高齢者直腸癌に対するJ型結腸嚢再建を用いた低位前方切除の長期排便機能
- 大腸癌肝転移治療成績の検討
- 術後長期機能からみた直腸癌の機能温存手術
- 長期排便機能からみた直腸癌前方切除におけるpouch operationの適応と意義
- 消化器外科における手術手技の変遷 直腸切除
- 3. クリクラの内容の充実と各科への配分,コア化の是非(第54回近畿大学医学会学術講演会)
- 胃癌における laminin の免疫組織学的検討 : 組織型および転移と laminin との関連
- W6-10 直腸癌の予後規定因子としての神経浸潤の重要性(第50回日本消化器外科学会総会)
- 303 下部直腸癌における自律神経温存超低位前方切除術の適応(第49回日本消化器外科学会総会)
- W4-9 直腸癌の神経浸潤と側方リンパ節転移の検討(第48回日本消化器外科学会総会)
- 直腸癌低位前方切除におけるJ型結腸嚢再建による長期排便機能改善 (特集 機能温存を念頭に置いた直腸癌治療--第106回日本外科学会総会シンポジウムより)
- 17.直腸癌に対するJ型結腸嚢再建の適応と長期(5年)排便機能
- 長期機能からみた直腸癌低位前方切除におけるJ型結腸襄再建標準化のためのエビデンス
- VP58 二人法による腹腔鏡下結腸全摘出術
- PP-559 直腸癌に対するJ型結腸嚢再建の適応と長期排便機能
- PP-557 J型結腸嚢再建と排便困難の関連:結腸嚢造影による検討
- 671 直腸癌に対するJ型結腸嚢再建の適応と長期排便機能
- 直腸癌神経浸潤における細胞外マトリックスの重要性 : 癌間質のテネイシン発現についての免疫組織化学的研究
- 192 放射線療法が直腸癌神経浸潤に与える影響
- 直腸癌に対する前方切除術におけるJ型結腸嚢再建の長期排便機能の検討
- PP-1-189 直腸癌手術における側方郭清と自律神経温存の適応と長期機能
- OP-3-080 cDNAアレイフィルターを用いた大腸癌の肝転移関連遺伝子群を抽出する試み
- OP-2-104 J型結腸嚢再建を用いた直腸癌低位前方切除における長期排便機能の経時的変化
- クリニカルクラークシップにおけるチーム医療 : 指導医として望むこと(教育シンポジウム, 第55回近畿大学医学会学術講演会)
- 大腸癌基底膜におけるtypeIV collagenの免疫組織学的研究
- 直腸癌に対する低位前方切除術におけるJ型結腸嚢の意義
- 手術治療の変遷 (大腸癌--最新の研究動向) -- (大腸癌の診断と治療の変遷)
- S状結腸間膜窩ヘルニアの1例
- 26.マイトマイシン門脈内投与法による大腸癌の肝転移抑制に関する実験的および臨床的研究
- 直腸癌に対する低位前方切除術におけるJ型結腸嚢再建術と排便困難の関連
- 226 術後短期間の血漿 CEA 値推移と laminin 染色性からみた大腸癌肝転移再発の危険率予測(第31回日本消化器外科学会総会)
- WIII-12 長期洗腸排便者の問題と対策(第31回日本消化器外科学会総会)
- SF-074-4 局所進展大腸癌に対する骨盤内臓全摘術の予後とQOL(SF-074 サージカルフォーラム(74)大腸:手術-3,第111回日本外科学会定期学術集会)
- SF-075-4 下部直腸癌に対する経肛門腹式直腸切除術(ISR:intersphincteric resection)の治療成績(SF-075 サージカルフォーラム(75)大腸:手術-4,第111回日本外科学会定期学術集会)
- 直腸のpouch surgeryの工夫と落とし穴(手術のtips and pitfalls)
- 進行・再発大腸癌に対するペプチドワクチン+UFT/LV併用療法
- 放射線照射部位に発生した直腸癌と腹壁肉腫の1例
- PS-088-7 肥満度で比較した当院における腹腔鏡下大腸手術の治療成績(PS-088 大腸 鏡視下-1,ポスターセッション,第112回日本外科学会定期学術集会)