<原著>Flow cytometryによる胃癌悪性度とリンパ球サブセット解析からみた宿主免疫反応
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概要
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癌の生物学的悪性度と宿主の免疫反応は, 患者の予後を規定する因子として重要である.我々は胃癌において末梢血リンパ球(PBL), 所属リンパ節リンパ球(LRN), 腫瘍浸潤リンパ球(TIL)サブセットをFlow cytometryを用いて解析し, 全身および局所における宿主免疫能を評価するとともに, 腫瘍のDNA ploidy patternや病期などの悪性度にリンパ球サブセットがどのように関与し, 免疫能が変化するかを検討しようとした.PBLでは癌の進行程度が進むにつれてCD4/8比は低下した.PBLのT cell/T cell+B cell(%)はDNA diploidy癌に比べDNA aneuploidy癌のstage IVで有意に低下し, 免疫能が低下していると考えられた.転移のないリンパ節リンパ球のT cell/T cell+B cell(%)はDNA diploidyにおいてstage間に有意差を認めなかったが, DNA aneuploidyではstageの進行にしたがい低下することから細胞性免疫能が低下すると考えられた.このことはDNA aneuploidy患者の予後が不良である一因である.TILのCD4/8比はstageが進むにつれて低下する傾向を示した.DNA ploidy pattern別にTILのCD4/8比をみるとDNA diploidyではstageの進行にしたがい低下したが, DNA aneuploidyではstage間に有意差を認めなかった.とくにstage IVのCD4/8比をみるとDNA aneuploidy(1.21±0.53)はDNA diploidy(0.73±0.45)に比べ有意に高値を示した(p>0.05).組織型別にみたTILのT cell/T cell+B cell(%)は高分化管状腺癌(81.0±19.5%)が低分化な癌に比べ高い傾向を示し, 細胞性免疫能が高いことを示した.またTc/Ts+Tc(%)は高分化管状腺癌(95.1±3.3%)が他の組織型の癌に比べ有意に高値を示し(p>0.005), 高分化癌ではcytotoxic T cellの相対的な増加があり抗腫瘍免疫能が高いことが示された.
- 近畿大学の論文
- 1996-06-25
著者
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