アミロースおよびシクロデキストリンの有機化合物複合体に関する研究 : 複合体形成と X 線回折による結晶構造の解析(農芸化学部門)
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概要
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アミロースおよびそのモデル物質であるシクロデキストリンを用い, それぞれにより得られる有機化合物複合体の性質を比較することにより, アミロース有機化合物複合体に関して未解釈であった種々の点を解決した。その主な点は次の通りである。1)アミロースはこれまで考えられていたよりはるかに多種類の有機化合物と水溶液中で複合体を形成し得ることを確めた。また有機化合物の分子構造のわずかな相違が, 複合体形成に著しい変化を与えることがわかった。2)ラセン状固体アミロースは, その空洞内に有機化合物を選択的に包接することを見出し, この現象より双極子共同相互作用が複合体形成を支配していることを推定した。3)アミロースのラセン構造は, ゲスト分子の大きさによって, グルコース残基6あるいは7の整数個で一周期を形成することが出来るが, 分数個からなるラセンは存在しないことを見出し, アミロースのラセン構造を安定化している水素結合の部位に関する知見を得た。4)アミロースおよびα, β-シクロデキストリンの有機化合物の複合体結晶の間にはオリゴマー類似が成立することを見出し, これによってそれぞれの結晶構造を更に明確化した。5)γ-シクロデキストリンの複合体結晶との比較から, グルコース残基8個で一周期を形成するアミロースのラセン構造は, ある種の歪を持つことを推定した。
- 京都府立大学の論文
- 1971-10-15
著者
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