1. 歴史的序論
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概要
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放電アークやスパークの分光学的研究は古くから行なわれてきた。その中で,1928年に,ComptonとBoyceにより,ヘリウム・イオンの発光線に付随したサテライト線が,初めて,観測され,また1939年には,ヴァキューム・スパークでBからFまでの元素のヘリウム様イオン線に付隨したリチウム様サテライト線が観測された。一方, 自動電離現象は,金属のアーク・スペクトル中で中が広い発光線が観測されるということや,存在する筈の線が観測されなかったり,異常に弱いといった事実から出発して,その内容が,確立してきた。しかし,その後は,エネルギー準位の固定や,自動電離確率の研究といつた原子物理学的方向に大きく発展してきたが,発光線の強度といったようなプラズマ物理学的方向には見るべきものが,乏しい。その中で,二電子性再結合の重要性の指摘とそれによる太陽コロナの温度に関する矛盾の解決は,特筆すべきものであろう。複雑は現象を要素化して,個々の要素について詳しく調べるという原子物理学的アプローチでの研究の進展は,もとより,本貭的に重要であるが,しかし,多岐にわたる現実のプラズマを全体として,理解するためには,その複雑さのままで取扱うプラズマ物理(プラズマ分光学)的アプローチもまた有効であり,この分野での両者のバランスのとれた発展が望まれる。
- 核融合科学研究所の論文