<論考>導入教育とその後を考える
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
はじめに, その導入教育の様子を理解してもらうための便宜をはかって, 以前に, 機械工学科の授業紹介として書いた一部を, 多少手を加えて以下に引用する。大学設置基準の改定による大綱化や, 学部等の改組に伴って学科のカリキュラムも大幅に変わった。その中で, 新しく必修科目(2単位)として新入生対象に開講されるようになった"初年次ゼミ「メカノワールド」"を紹介する。開講の趣旨は, 学生に欠如していると言われている「自ら判断し, 自ら行動し, 自ら律して生きる力」を養うことを目的に, 大学生活の当初において「大学卒業までに何をしたら良いか」を自分から考えて行動する意識を持ってもらうことを意図している。機械工学を勉強したいという希望で入学する者には, 機械工学に関する情報を与えることが肝心であるので, 関連情報を与えて不安な気持ちを落ち着かせること, そして, どのような大学生活をしなければならないかを考える機会を与えることなどを計画し, 新入生に当面の目的意識が生まれるよう配慮している。最初の数回のゼミナールは, 友達とのグループ討論により「価値観が人によって異なる」点を認識させることもしている。また, 真の友人は互いに異なる答であっても認め合うことで得られるものであり, それは受験勉強では得られない「答の多様性」を経験させることも目的としている。さて, 具体的にはホームページ(1)に詳しく紹介されているが, 当初のゼミナールについてその様子を紹介すれば, ペアになった友達に取材してその人を上手に紹介する「他己紹介」や, 簡単なイラストを描いてクラスの前で説明する「20年後の私の姿」などを行い, 本番のデスカッションに先立ってグループ仲間の心を開かせ環境を整えた。その後に本番の「卒業するまでに何をしたらよいか」という大枠のテーマで開始する。進行手順はKJ法(川喜田二郎氏が開発したデータ分析の方法)にほぼ準じている。すなわち, 問題提起案を複数の学生が数枚のカードに連記し, 大きな表に貼り付けて分類整理しながら具体的な課題見つけ, 解決をはかっていくというものである。この解決過程において, 教官からこうした方がよいと指示されたことではなく, 学生当事者の発案で他人に説明するところが非常に大切であると考えた。一連のデスカッションが終わった翌週からは, 週1回の講義形式で学科の教官に, 現在どのような機械工学分野の研究が行われているかをオムニバス形式で行われる。平成12年度の計画では, 「ソーラーカーの実用化に向けて」, 「永久運動とエネルギーの現在と将来」, 「21世紀の夢のエンジン」, 「人間・環境・素材」, 「特別講演会自動車の変速機の動向」, 「シミュレーションで探る機械工学」, 「風車はエネルギー環境に問題に貢献できるか」, そして最後にホームワークとして「小論文機械工学に夢を抱いて」をテーマにして行った。学生の成績は, 本ゼミナール参加の効果と意欲を見るために出席をとり, 提出させた小論文の内容と併せて評価した。なお, 本授業活動の一貫として鉱山学部時代より行われてきた学外オリエンテーションも行っており, 平成12年度は, 東北電力能代火力発電所, 同付属施設エナジアムパーク, 文部省宇宙科学研究所能代ロケット実験場を見学した。このように, 特に学生が興味を持って参加出来る授業の創出によって, 教育効果をあげるべく絶えず努力を重ねている。以上は, 導入教育としての「初年次ゼミ」メカノワールドの紹介記事である。
- 2001-03-31
著者
関連論文
- 206 高純度アセチレン燃焼炎によるダイヤモンド皮膜合成への窒素添加の影響(機械材料及び潤滑)
- 408 サイズ変換ものづくりによる学士教育(材料力学2)
- 193 歯科切削工具用WC表面への燃焼炎法によるダイヤモンド皮膜合成(機械材料・材料加工)
- 216 燃焼炎3段階合成法によるダイヤモンド皮膜に及ぼす諸影響について(機械材料・材料加工II)
- 燃焼炎法によるMo基板表面への三段階合成ダイヤモンド皮膜のはく離に及ぼす流量比の影響
- 306 燃焼炎法による三段階合成ダイヤモンド皮膜のはく離抑制(流体工学I・材料工学I)
- 317 燃焼炎法によるMo基板表面への合成ダイヤモンド皮膜の接合強度評価(機械材料・材料加工II)
- 界面はく離を考慮した燃焼炎法によるMo基板表面へのダイヤモンド皮膜合成
- モジュール性測度の改善に関する研究(GS14 設計・き裂評価)
- 界面はく離を考慮した燃焼炎法によるMo基板表面へのダイヤモンド皮膜合成(OS5-3 コーティング/基材の界面強度,OS5 コーティングプロセスとその皮膜特性評価)
- 環境適合型製品設計への第3モジュール性測度の導入
- 燃焼炎法による Mo 基板表面へのダイヤモンド皮膜合成
- 621 燃焼炎法による合成ダイヤモンド皮膜と MO 基板の界面はく離の評価
- 秋田大学の教育を考える
- 創造能力の育成について
- 環境適合型製品設計への第3モジュール性測度の導入
- 微生物を用いた油汚染土壌の浄化に関する基礎的研究
- 積層複合材料の曲げたわみに基づく損傷同定のための損傷のモデル化
- 板理論における等価付加荷重法の損傷同定への応用
- (7)卒業生の動向から考えるこれからの教育(第2セッション 教育システム(講義・演習)(II))
- 導入教育とその後を考える
- 136 円形領域内を旋回する弾性特性波(材料力学I)
- 109 偏倍解析法による不均質半空間の面内衝撃応答(OS2(1) 先端機能性材料の弾性解析)
- 積層材からの弾性波反射エネルギ評価のための数値実験(OS3-2 波動、構造評価,OS3 先端機能性構造材料の力学的挙動に関する数理解析とマルチスケールアナリシスへの進展)
- 不均質積層材に対する CLAI モデルと一般モデルによる衝撃応答の比較
- 818 不均質積層材の衝撃解析における CLAI モデルの提案
- 傾斜不均質層におけるSH波の二次元反射エネルギー計算 : 合理化不均質層要素による積層近似
- 傾斜不均質層による反射SH波の合理的二次元解析
- 不均質介在層による弾性波の反射エネルギー
- 218 モジュールの最適配置法に関する設計研究 : モジュール性測度の携帯電話への適用例に基づく検討(機械要素)
- 3308 モジュール性測度による環境調和型製品の設計評価について
- 複合モジュラー構造の資源循環性評価法
- 環境適合形製品設計のためのモジュール性測度(機械要素,潤滑,工作,生産管理など)
- 製品設計のためのモジュール性測度
- 5-210 学部生への設計思想教育の試み((2)専門科目の講義・演習-III)
- 大学教育の質の向上に係わる課題 : 教養教育の望ましい姿を求めて
- 79 成績評価基準について(教育研究指導II,第20セッション)
- 導入教育としての初年次ゼミナールの編成と実践
- (44)導入教育としての「初年次ゼミ」メカノワールドの編成と実施(体系的教育課程の編成,第11セッション)
- 循環型社会における技術者の研究課題のために
- W04-(2) リサイクルを考えたモジュールの設計について
- 「初年次ゼミナール」メカワールド実施の背景と課題
- 燃焼炎3段階合成ダイヤモンド皮膜のはく離抑制の検討 : 各段階の白心距離と基板表面形態の効果
- 燃焼炎3段階ダイヤモンド合成法における初期成長膜構造と接合強度との関係
- 燃焼炎法によるMo基板表面へのダイヤモンド皮膜合成における界面はく離に及ぼす諸影響について
- 成績評価基準ガイド
- 教養基礎教育研究年報発刊に寄せて