秋田県沿岸におけるハタハタ仔稚魚の水深別分布と食性
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概要
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秋田県沿岸におけるハタハタ仔稚魚の水深別分布と摂餌生態を調べるため、2009年2-5月に仔稚魚の分布密度と食物組成および餌サイズ組成を調査した。仔稚魚は水温7.3-12.2℃の底層に分布し、水深0.5-5mの産卵場から個体発生的に水深60m以深に移動した。また稚魚は、水温13.2℃以上の底層には分布しなかった。ハタハタの孵化仔魚は脊索長が約12mmあり、他の海産魚類の仔魚に比べて口器および形態が発達した段階で孵化していた。体長12-30mmの仔魚の餌は浮遊性あるいは底生性のカイアシ類コペポダイトが高い割合を占め、40mm以上ではアミ類が優占した。コブヒゲハマアミはハタハタ稚魚の成育場に同期的に出現し、他の浮遊性あるいは底生性の甲殻類に比べて大型であることから、稚魚の重要な餌生物の一つであると考えられた。To better understand the bathymetric distribution and feeding habits of Japanese sandfish (Arctoscopus japonicus) larvae and juveniles off Akita Prefecture, their abundance, diet, and prey size distributions were investigated from February to May 2009. Larvae and juveniles were distributed along the sea floor at temperatures of 7.3-12.2℃, and they ontogenetically shifted from the coastal spawning ground (0.5-5 m bottom depth) to offshore areas (bottom depth ≥60 m). Juveniles were not found on the bottom at temperatures ≥13.2℃. Newly hatched larvae had a notochord length of ca. 12mm and morphologically well-developed compared with other marine fish larvae. Pelagic and demersal copepodites were dominant in the diet of 12-30 mm long sandfish larvae, and mysids were dominant in the diet of ≥40 mm long juveniles. The mysid Xenacanthomysis pseudomacropsis might be an important prey item for sandfish juveniles in their nursery ground because it is larger than other pelagic and demersal crustacean prey, and it co-occurs with sandfish juveniles.
- 2011-12-20
著者
-
甲本 亮太
秋田県農林水産技術センター・水産振興センター
-
高津 哲也
北海道大学大学院水産科学研究院
-
高津 哲也
北海道大学大学院水産科学院・水産科学研究院
-
工藤 裕紀
秋田県農林水産技術センター水産振興センター
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