時間-温度換算則を用いたポリブチレンテレフタレート成形品の熱酸化劣化度及びその熱エージング時間の推定技術
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概要
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経年車より採取したポリブチレンテレフタレート(PBT)製成形部品を用い時間−温度換算則を適用することにより,実用的な温度における熱酸化劣化度及びその熱エージング時間を推定することを試みた.その熱酸化劣化度の指標には,反応熱分解GC/MS法で観測されるメチル4-メトキシブチレート(MMB)の生成量を用いた.3水準の温度におけるベンチ試験の結果より,MMB量と熱エージング時間の関係を100℃基準のマスターカーブに纏めることができた.一例として走行距離が4.6万kmの経年車のエンジン付近から採取した部品に適用したところ,0.0071 wt% のMMB量に対して,DSC法で求めた熱履歴温度84℃あるいは100℃における熱エージング時間に換算すると,各々4200時間,3500時間と推定された.このように熱酸化劣化度が任意の想定温度における熱エージング時間として表せるようになった.その結果,熱酸化劣化度がMMB量と走行距離の関係からよりも100℃における熱エージング時間との関係からのほうが的確に評価できることが分かった.また,MMB量と機械的物性値の関係を把握することにより寿命推定にも適用できる.よって,本法が汎用的な劣化度評価手法として展開できる可能性が示唆された.
- 2011-03-05
著者
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真鍋 礼男
住友電装株式会社
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南 博昭
住友電装株式会社
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石川 正尚
住友電装株式会社研究評価センター
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大塚 正人
住友電装株式会社研究評価センター
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中村 篤
住友電装株式会社研究評価センター
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南 博昭
住友電装株式会社研究評価センター
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真鍋 礼男
住友電装株式会社研究評価センター
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