水酸化テトラメチルアンモニウム共存下での熱分解ガスクロマトグラフィー/質量分析法によるヒンダードフェノール型酸化防止剤の定量
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概要
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高分子材料に配合されている, 代表的なヒンダードフェノール型の高分子量酸化防止剤の一つであるIrganox1010を取り上げ, 水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)存在下での熱分解GC/MS法による分析を検討した. Irganox1010は熱分解炉の温度250℃で, フェノール性のOH基がメチル化されると同時に分解反応により低分子量の化合物に変化することが分かったので, この化合物のピーク強度を基にして高分子材料中のIrganox1010の定量を行った. 試料には, 酸化防止剤の配合量を0.05〜0.5wt%まで変化して調製した5種類のポリエチレン(PE)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いた. その結果, PE試料については, TMAH以外に有機酸のラウリン酸及びアセトンを熱分解の際に共存させることにより相対標準偏差(RSD)で7%以内, またPBT試料についてはTMAHを加えるだけでRSD, 3%以内の極めて高い測定精度で定量を行うことができた. また, PBTの劣化過程をIrganox1010の残量に基づいて評価することを試みた結果, その配合量に対して残量が約64%になった時点で延性がほとんどなくなることが分かった. このように, 本方法により, 従来のような長時間にわたる前処理を行う必要もなく, 少量の試料量で, 樹脂中に微量に添加されたヒンダード型酸化防止剤を迅速かつ精度良く定量できることが分かったので, 他のヒンダードフェノール型酸化防止剤の定量並びに高分子材料の劣化過程への適用も期待できる.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1999-04-05
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