IBDにおける腸炎惹起性T細胞のMyD88を介した直接的TLRシグナルの重要性
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概要
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無菌環境下で腸炎モデルマウスは発症しないことから腸内細菌が腸炎の発症・維持に重要であることが推定される.Toll-like受容体(TLR)は,細胞表面にある受容体タンパク質で,種々の病原体を感知して働く.このTLRが自然免疫担当細胞(マクロファージ,樹上細胞等)のみならずT細胞にも発現することが最近の研究によって明らかにされ,腸内細菌による直接的なT細胞の制御活性化が示唆された.そのTLRシグナル伝達には,アダプター分子であるMyD88を介する.本研究では,腸炎発症及び維持に腸内細菌によるT細胞のMyD88系TLRシグナルが直接関与しているかどうかを検討する目的で,T細胞特異的MyD88欠損システムを構築し検討した.その結果,MyD88欠損T細胞移入腸炎はコントロールに比し有意に腸炎の減弱を認め,浸潤したCD4+ T細胞のBcl-2とBcl-xL mRNAの発現が有意に低下したことから,腸炎の維持に重要な腸炎惹起性CD4+ T細胞の増殖と生存に腸内細菌によるMyD88依存性TLRシグナルが直接的に関与していることが示唆された.
- 日本ビフィズス菌センターの論文
- 2009-07-01
著者
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