中国塩類土壌での脱硫石膏施用後の未改良区域における土壌特性および追加施用の評価
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概要
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中国にて深刻化している大気汚染と砂漠化,さらに食糧問題を解決する手法として,脱硫石膏を用いて砂漠化土壌改良を行っている.1996年より中国東北地方にて行ってきた砂漠化土壌改良試験を,1998年にヘクタール規模に拡大して行った結果,脱硫石膏を1.0 wt%施用したにもかかわらず改良できない未改良部分(以下,未改良区域(ANA))が生じてしまうことを確認した.そこで翌年,ANAにさらに脱硫石膏を施用して改良試験を行った結果,発芽率,株の成長割合,成長高さ,茎の太さ,生育量において明らかな改善効果を確認できた.生育量においては施用量の増加に伴い増加し,年々生育量が増加することも確認できた.さらに,改良に伴い土壌pHや土壌中Na含有量の減少も確認することができた.そして,トウモロコシ生産量,石膏施用量とpH,EC,ESPや各種イオン濃度の土壌化学性の分析結果における相関性を評価した結果,石膏施用に伴いトウモロコシ生産量が増加したこととやや相関があることが確認できた.最後に,フィールドでの土壌化学性からの改良評価のみならず,石膏による透水性の改良効果を,改良された土壌と未改良区域の土壌にて比較を行った.その結果,石膏施用量,乾燥密度の変化に伴う飽和透水係数の比較から,石膏施用量の増加,乾燥密度の減少により飽和透水係数が著しく改善されることが確認できた.したがって,透水性が植物の生育しない主要因になっているわけでは無いことが確認できた.
- 2010-07-20
著者
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酒井 裕司
工学院大学工学部 環境エネルギー化学科
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相原 知之
工学院大学工学部 環境エネルギー化学科
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山本 隆善
工学院大学工学部 環境エネルギー化学科
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定方 正毅
工学院大学工学部 環境エネルギー化学科
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定方 正毅
工学院大学
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酒井 裕司
工学院大学
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