特発性縦隔気腫症例の臨床的検討
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概要
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当院にて1999年10月から2008年1月までに経験した特発性縦隔気腫19症例を検討した.症例は男性が11例,女性が8例で,10歳代が7例,20歳代が5例であった.主訴は胸部症状が15例(胸痛が9例,呼吸困難が5例,胸部圧迫感が1例)と多く,発症前のエピソードは,不詳が10例,運動が5例,発声が2例,咳嗽,嘔吐,吹奏楽,ヘリウムガス吸入が各々1例であった.治療内容は経過観察のみが10例,抗生剤が6例,鎮痛剤が3例,絶食が3例,鎮咳剤が1例,頚部皮膚切開が2例,胸腔ドレナージが2例,縦隔ドレナージが2例であった.経過は軽快が18例,死亡が1例であった.重症化し縦隔ドレナージを必要とした2症例が存在した.頚部皮膚切開と縦隔ドレナージを必要とした症例および死亡例はすべて小児であった.特に小児においては縦隔気腫が全身の気腫へ拡大しやすく,緊張性縦隔気腫による大血管圧迫からの循環障害や皮下気腫に伴う気道閉塞といった重篤な状態になりやすいため,注意深い管理と頚部皮膚切開と縦隔ドレナージなどの外科的処置が必要と考えられた.
- 2009-11-15
著者
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土屋 恭子
島根県立中央病院 呼吸器外科
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阪本 仁
島根県立中央病院 呼吸器外科
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小阪 真二
島根県立中央病院 呼吸器外科
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松尾 聡
北九州市立八幡病院 外科
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中村 昭博
北九州市立八幡病院外科
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伊藤 重彦
北九州市立八幡病院外科
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中村 昭博
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科腫瘍外科
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田村 和貴
北九州市立八幡病院呼吸器外科
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