血液透析患者におけるヘマトクリットの変動 : エリスロポエチン投与量の週間移動平均値を用いた考え方
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概要
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血液透析患者の貧血の変動が生命予後に関連すると報告されている.この変動の要因を調べるため,維持血液透析患者110名を対象に採血検査の14週間前から1週間前までに投与されたエリスロポエチンの週間平均投与量,すなわち週間移動平均値を算出し,各赤血球検査値との関連を検討した.血液検査の14週間前から1週間前までのエリスロポエチン移動平均値(EPO-MA(-14w-1w))とヘマトクリット値は経過図で極めて類似した曲線を示した.110例中65例ではエリスロポエチン移動平均値とヘマトクリット間に有意の正相関を認めた.正相関を認めなかった45例中30例は,鉄剤投与によりエリスロポエチン製剤の投与量を減量できた症例であり,相関は認めないまでも両者の変動は類似していた.エリスロポエチン移動平均値を求める期間の検討では,血液検査前の14週〜1週において相関係数が最も高くなり,今回の移動平均値を求める期間が妥当であることを裏付けた.貧血の変動の大きな原因はエリスロポエチン投与量の変更であり,移動平均を用いた考え方から14週間前(約3か月半前)のエリスロポエチンの投与量と比較しながら現在の投与量を変更すれば,ヘマトクリットの変動を抑えられると考えられる.
- 2009-07-28
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