骨粗鬆症治療薬アレンドロネート週1回投与製剤(フォサマック錠35mg/ボナロン錠35mg)の薬理学特性と臨床効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アレンドロン酸ナトリウム水和物(以下,アレンドロネート)は,窒素含有ビスホスホネート系化合物であり,強力な骨吸収抑制作用を持つ骨粗鬆症治療薬である.アレンドロネートは,海外において1993年にイタリアで承認されたのをはじめ,2006年1月までに95ヵ国以上で許認可を受けている.本邦においても骨粗鬆症に対するアレンドロネート5 mg1日1回投与製剤の有効性および安全性が確認され,2001年8月よりフォサマック錠5(万有製薬),ボナロン錠5 mg(帝人,現帝人ファーマ)の販売名で販売されている.また,アレンドロネートの週1回投与製剤は,海外においてその有効性・安全性が証明され80ヵ国以上で承認されている.本邦においても,腰椎骨密度を評価項目として第III相二重盲検比較試験を実施し,アレンドロネート35 mg週1回投与製剤は,アレンドロネート5 mg1日1回投与製剤と同等の有効性および同様の安全性を有することが示され,2006年7月に承認された.体内に吸収されたアレンドロネートは,骨吸収部位に特異的に分布し,数週間にわたり持続的に薬理作用を発揮し,その後効果の減弱とともに代謝されず徐々に排泄されるというユニークな体内動態を示す.このような特性から,1日1回投与量の7倍量に相当するアレンドロネートを週1回投与しても同等の骨量増加効果が得られると考えられた.また,内服のビスホスホネート系薬剤に共通する食道粘膜刺激に基づく障害は,投与間隔を空けることにより軽減する可能性が示唆される成績も報告され,週1回の投与法は安全性において有利であるとも考えられた.アレンドロネート等のビスホスホネート系薬剤は,食事による吸収阻害,ならびに食道への逆流による粘膜刺激を避けるため,朝起床時,空腹時に約180 mLの水とともに服用し,その後少なくとも30分は飲食および他の薬剤の服用を避け,また上体を起こした状態を維持しなければならない.そのため,このような服用方法に不便さを感じ,更に治療継続が困難になる患者も少なくない.骨粗鬆症のような慢性疾患の薬物療法において,服薬の利便性は,服薬コンプライアンスを高める上で重要である.したがって,アレンドロネート週1回の用法の登場は,患者にとって服薬の利便性に繋がると同時に患者のライフスタイルに合わせた服薬方法の選択肢が増えることになり,服薬コンプライアンスの向上に寄与するものと期待される.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2007-10-01
著者
-
東 由明
帝人ファーマ株式会社 創薬第2研究所
-
太田 知裕
帝人ファーマ株式会社 学術第1部
-
太田 知裕
帝人ファーマ
-
中村 圭介
万有製薬株式会社 臨床医薬研究所
-
東由 明
帝人株式会社医薬開発研究所薬理研究部
-
清水 隆史
万有製薬株式会社 臨床医薬研究所
-
内田 真嗣
万有製薬株式会社 臨床医薬研究所
-
谷口 忠明
万有製薬株式会社 臨床医薬研究所
-
有薗 宏教
帝人ファーマ株式会社 医薬開発部
-
岡庭 雅彦
帝人ファーマ株式会社 医薬開発部
関連論文
- マイクロCTを用いた Voronoi 分割による新しい骨梁構造解析
- 変形性膝関節症における関節軟骨の三次元評価の有用性と限界
- 4-Amino-1-hydroxybutylidene-1, 1-bisphosphonate (alendronate) の体内動態研究 (第2報) : 反復投与時の7週齢ラット, 単回投与時の30週齢ラットにおける血中濃度, 分布, 排泄, および雌性ラットにおける胎仔移行性, 乳汁移行性
- 4-Amino-1-hydroxybutylidene-1, 1-bisphosphonate (alendronate) の体内動態研究 (第1報) : ラットにおける単回静脈内投与時の血中濃度, 分布および排泄
- マルチスライスCTと三次元画像処理を用いた手関節の体積骨密度測定ソフトの開発とその臨床的有用性 : 関節リウマチ(RA)での検討
- 関節炎における関節軟骨下骨破壊および関節間隙狭小の新規3次元構造評価方法
- 低出力超音波パルスによるラット大腿骨骨折に対する治癒促進効果 -超音波パルスは種々の細胞反応に作用して骨折治癒を促進する-
- 低出力超音波パルスによるラット大腿骨骨折に対する治癒促進効果 : 超音波パルス特性と治癒促進作用の関係
- 低出力超音波パルスによるラット大腿骨骨折に対する治癒促進効果 : 超音波パルス照射時期と治癒促進作用の関係
- 低出力超音波パルスによるラット大腿骨骨折に対する治癒促進効果