Cushing 病合併の透析導入患者で診断に難渋した古典的結節性多発動脈炎の1例
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概要
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症例は34歳, 男性. 1994年尿路結石にて精査加療中に下垂体腫瘍を発見され, Cushing病との診断で摘出された. 2001年尿蛋白を指摘され, 血中M蛋白も認められたため腎生検を施行された. 60%程度の糸球体が完全硬化しており腎硬化症と診断せざるを得ない所見であり, また血管炎は認められなかった. その時下垂体腫瘍の再発が認められ2003年に再手術を施行されたが, 腫瘍は残存していた. 2004年2月交通事故の後に腎機能障害が進行, 6月倦怠感, 食欲不振, 貧血のため入院し血液透析を導入した. 発熱, WBCおよびCRPの上昇が認められたが, 当初はブラッドアクセスカテーテル抜去時にできた血腫, その後カテーテル感染症によるものと考え治療した. 発熱, WBCおよびCRPの上昇が続いたため肺外結核も考え治療したが改善は認められなかった. 7月に四肢の感覚鈍麻, 8月には右足の運動障害が認められた. 神経症状は緩徐に進行性でmoter dominant polyneuropathyと判断し慢性炎症性脱随性多発根神経炎に準じて9月免疫グロブリン大量療法を施行したところ, 神経症状に変化はなかったが, 発熱, WBCおよびCRPの上昇が改善し倦怠感も改善した. しかし改善は一時的で10月中旬より再びWBCおよびCRPが上昇, 腹痛や食欲不振, 全身倦怠感も再び出現し11月初旬死亡した. 剖検の結果, 腎臓, 心臓, 正中神経, 精巣, 胃, 腸間膜, 膵臓の小型から中型の筋性動脈に血管炎が認められ, 古典的結節性多発動脈炎 (polyarteritis nodosa : PAN) と診断した. 神経症状や腹痛もPANの一症状であると考えられた. Cushing病とPANの合併はまれであり, また診断が困難な興味深い症例であったので報告する.
- 2007-01-28
著者
-
島津 章
京都医療センター臨床研究センター
-
菅原 照
国立病院機構京都医療センター腎臓内科
-
菅原 照
京都大学 大学院医学研究科内分泌代謝内科
-
今牧 博貴
京都大学 大学院医学研究科内分泌代謝内科
-
八幡 兼成
国立病院機構京都医療センター腎臓内科
-
岡本 千夏
国立病院機構京都医療センター腎臓内科
-
瀬田 公一
国立病院機構京都医療センター腎臓内科
-
八幡 兼成
京都医療センター腎臓内科
-
岡本 千夏
京都医療センター腎臓内科
-
今牧 博貴
京都医療センター腎臓内科
-
瀬田 公一
京都医療センター腎臓内科
-
菅原 照
京都医療センター腎臓内科
-
瀬田 公一
京都医療センター 内分泌代謝センター
-
島津 章
国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター
-
島津 章
京都医療セ 臨床研究セ
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