片側水腎症の経過中に急性腎盂腎炎とともに発症した抗糸球体基底膜抗体腎炎の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
68歳, 男性. 膀胱癌のため膀胱全摘, 回腸導管造設術施行. 術後は, 尿管狭窄による左腎水腎症から無機能腎に陥り, 血清Cr 1.3mg/dL前後で経過していた. その後, 急性腎盂腎炎のため入院したが, 血清Crは1.9mg/dL前後に上昇していた. 退院11日後の検査で, BUN 64.9mg/dL, 血清Cr 7.04mg/dLと著明な腎機能低下, 炎症反応陽性, 膿尿を認め再入院となった. 腎盂腎炎, 脱水, 薬剤などによる急性腎不全を疑い, 補液, 抗生物質にて加療したが, 腎機能低下は進行し, 血液透析導入となった. 入院後検査では抗糸球体基底膜抗体 (抗GBM抗体) 陽性で, 腎生検では係蹄壁にIgGの線状沈着を伴った半月体形成性腎炎を呈し, 肺野に異常所見を認めなかったことから, 抗GBM抗体腎炎と診断し, 副腎皮質ホルモン投与, 血漿交換にて加療を行ったが, 腎機能は回復せず透析を離脱できなかった. 膀胱癌術後, 片側尿管閉塞をきたした後に, 抗GBM抗体腎炎を合併した症例であるが, 同時に急性腎盂腎炎を発症したため腎機能低下が見逃され, 診断, 治療が遅れた. 本症例の抗GBM抗体腎炎の発症には水腎症あるいは急性腎盂腎炎の関与が考えられた.
- 社団法人 日本透析医学会の論文
- 2007-03-28
著者
-
岩崎 美津子
東芝林間病院腎臓内科
-
若狭 幹雄
東芝林間病院腎臓内科
-
宇田 晋
東芝林間病院腎臓内科
-
佐藤 かすみ
昭和大学医学部腎臓内科
-
山本 弓月
東芝林間病院腎臓内科
-
佐藤 かすみ
東芝林間病院腎臓内科
-
伊東 由紀枝
東芝林間病院腎臓内科
-
相澤 純子
東芝林間病院腎臓内科
-
中山 隆弘
東芝林間病院腎臓内科
関連論文
- 糖尿病血液透析患者における plasma refilling rate(PRR) の検討
- 透析患者における低栄養と大脳白質病変
- ミゾリビン投与後に急性尿酸性腎症・急性腎不全に至った1例
- 長期血液透析患者に偶然発見された消化管透析アミロイドーシスの2例
- 高血糖昏睡が遷延し脳MRIにて大脳基底核病変がみられた糖尿病血液透析患者の1剖検例
- 片側水腎症の経過中に急性腎盂腎炎とともに発症した抗糸球体基底膜抗体腎炎の1例
- 7. LDLアフェレシスが寛解導入に対し奏効したステロイド抵抗性微小変化群ネフローゼ症候群(MCNS)の1例(日本アフェレシス学会第14回関東甲信越地方会抄録)
- 症例報告 速効型インスリン大量注射により低血糖が遷延した慢性C型肝炎合併血液透析患者の1例
- Prolonged hypoglycemia after regular insulin overdose in a diabetic patient with chronic hepatitis C undergoing hemodialysis
- Puromycin aminonucleoside腎症の間質障害に対するMycophenolate mofetilならびにOlmesartanの抑制効果に関する研究
- 速効型インスリン大量注射により低血糖が遷延した慢性C型肝炎合併血液透析患者の1例
- 微小変化群と巣状糸球体硬化症における上皮細胞骨格(Synaptopodin)と糸球体接着因子(α-dystroglycan)とステロイド療法に関する研究