コミュニケーション方法とリテラシー形成(特別発言)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
聴覚障害児の学校教育開始後, 約130年になる.20世紀前半までの職業教育重視の時代を経て, 現在, 聾学校では通常の学校と同様の教育が目指され大学進学者も増加している.難聴学級等通常の学校で指導を受けている子どもも多い.近年コミュニケーション方法は多様化し, 聴覚口話法を基本としつつ手話を併用する聾学校も増えている.日本語指導の方法も教授型からコミュニケーション重視の対話型に変化してきた.聴覚障害児のリテラシーは個人差が大きく, 平均的には読書力, 作文力とも遅れや偏りが見られる.リテラシー形成には音韻意識および言語概念への気づきが重要であるが, 聴覚障害児は補聴による矯正に加えて, 視覚的情報や筋肉感覚, かな文字などを拠り所にさまざまな感覚を協働させ, 時間をかけて特有の音韻意識に至ると考えられる.音韻意識の定着や日本語による概念の理解を促す指導, さらに小学校, 中学校段階でのリテラシー形成にかかわる息の長い教育的支援が必要である.
- 日本音声言語医学会の論文
- 2006-07-20
著者
関連論文
- 人工内耳を装用した聴覚障害児の音韻意識の発達
- 聴覚障害児の音韻意識の発達
- コミュニケーション方法とリテラシー形成(特別発言)
- Webを用いた実習中の学生指導に関する取り組み
- 新生児聴覚スクリーニングの進展と聾学校における乳幼児支援体制の現状:―乳幼児支援担当者に対する調査から―
- 言語聴覚療法学専攻学生の臨床場面における会話能力評定尺度作成の試み