軽油脱硫における遊離硫黄の生成 : 超深度軽油脱硫触媒のパイロット性能評価における注意点
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
硫黄分50 ppm以下での超深度軽油脱硫触媒の性能評価における問題点について検討した。GC-AEDおよびGC-MS分析により,生成油硫黄分のばらつきの原因を調べたところ,超深度脱硫軽油中に遊離硫黄が生成することが判明した。この遊離硫黄は,サンプリングした生成油中に溶存するH2Sが空気に接触すると生成することが分かった。遊離硫黄の生成機構は明らかではないが,溶存H2Sの直接酸化,クラウス反応,多硫化アンモニウムの酸化等が考えられる。いったん,生成油中に安定な遊離硫黄が生成すると,窒素等によるストリッピングでは除去できないため,硫黄分が実際よりも高く評価されるので問題となる。遊離硫黄の生成を防止するには,サンプリング前に系内のセパレーターでH2Sを除去するか,窒素シールしたサンプリング室内でH2Sを除去する必要がある。なお,商業装置ではプロセスフロー上,H2Sは空気と接触しないため,遊離硫黄の生成は認められなかった。
- 社団法人石油学会の論文
- 2005-09-01
著者
-
岩本 隆一郎
出光興産(株)技術部 石油技術センター
-
小鹿 博道
出光興産(株)中央研究所
-
高橋 信行
出光興産(株)中央研究所
-
稲村 和浩
出光興産(株)中央研究所
-
岩本 隆一郎
出光興産(株)石油技術センター
-
稲村 和浩
出光興産 中研
関連論文
- 重油脱硫触媒の再生におけるNiMoO_4生成機構
- 重油脱硫触媒の再生 : バナジウム蓄積が再生触媒の物性と活性に与える影響
- NiO-MoO_3/Al_2O_3およびNiO-MoO_3-P_2O_5/Al_2O_3系水素化脱硫触媒へのポリエチレングリコールの添加効果
- 軽油脱硫における遊離硫黄の生成 : 超深度軽油脱硫触媒のパイロット性能評価における注意点
- 第2回国際水素化精製触媒学会に参加して
- フランス リール工科大学
- 含浸液中金属種の溶存状態制御による脱硫触媒の高分散化検討
- ガソリン車用リーンNOx触媒の一律評価 : 平成12年規制適合車の耐硫黄性と課題
- 重質油の脱硫・脱メタル触媒について(石油系燃料油及び重質油のクリーン化技術の最近の進展)
- 硫化過程における脱硫触媒の構造変化
- Songらの論文にみる軽油低アロマ化触媒の設計
- 昇温硫化反応(TPS)測定技術