重油脱硫触媒の再生 : バナジウム蓄積が再生触媒の物性と活性に与える影響
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概要
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商業装置で1年間運転された重油脱硫触媒を再生し,バナジウムの蓄積量が再生触媒の物性および活性に与える影響について検討した。XRD測定からバナジウムの蓄積量に比例して再生時にNiMoO4のような活性金属の凝集が促進されることが分かった。また,バナジウムの蓄積量に比例して再生時に硫酸アルミニウムの生成が促進されることを見出した。硫酸アルミニウムとなる硫黄源は再生前にはモリブデン硫化物やバナジウム硫化物として触媒上に十分存在しているにもかかわらず,硫酸アルミニウムの分布はバナジウムの分布とよく一致して触媒粒子の外表面近傍にしか存在しなかった。この理由として,バナジウムの酸化活性が再生時に生成するSO2を酸化して硫酸を生成し,さらにこの硫酸が担体のアルミナの硫酸化を促進していると考えられる。さらに,バナジウムの蓄積が再生触媒の触媒活性に与える影響について検討した結果,重油脱硫活性,脱窒素活性,脱残炭活性はバナジウムの蓄積量に比例して低下した。この活性低下の原因は活性金属の凝集によると考えられる。一方,脱バナジウム活性,脱ニッケル活性,脱アスファルテン活性は,バナジウムの蓄積量に比例して向上した。これは蓄積バナジウム自身が新たな活性点となり,重質留分の反応性を促進していると考えられる。
- 社団法人石油学会の論文
- 2007-05-01
著者
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