亜鉛欠乏食が下顎歯槽骨に及ぼす影響に関する実験的研究 : 骨基質形成について
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概要
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生後5週齢のラットを用いて, 標準食, 亜鉛欠乏食, 低亜鉛食(50%), 高亜鉛食(150%)をあたえ4週間飼育した後, 下顎骨を採取し骨基質形成について次のような結果を得た.1. 体重 対照群と亜鉛欠乏食群の間には有意差が認められ, 亜鉛欠乏食群が低値を示した.また実験開始後2週目で対照群と高亜鉛食群の間に有意差が認められ, 高亜鉛食群が高値を示した.2. 骨塩量 対照群と低亜鉛食群および亜鉛欠乏食群の間には有意差が認められ, 対照群が高値を示した.低亜鉛食群と高亜鉛食群および亜鉛欠乏食群の間には有意差が認められ, 高亜鉛食群が高値を示し, 亜鉛欠乏食群が低値を示した.3. 血液検査 Caについて, 対照群と亜鉛欠乏食群および高亜鉛食群の間に有意差が認められ, 亜鉛欠乏食群が低値を示し, 高亜鉛食群が高値を示した.Pについて, 対照群と亜鉛欠乏食群の間に有意差が認められ, 亜鉛欠乏食群が低値を示した.Ca/Pは対照群と高亜鉛食群の間に有意差が認められ, 対照群が低値を示した.ALPは対照群と亜鉛欠乏食群の間に有意差が認められ, 亜鉛欠乏食群が低値を示した.4. X線学的検査 対照群と高亜鉛食群は同様の所見を示していた.それに比べ, 亜鉛欠乏食群と低亜鉛食群は骨梁の減少と厚さの減少が認められた.5. 病理組織学的所見 対照群と比較して亜鉛欠乏食群は, 骨構築の減少を示した.また低亜鉛食群は亜鉛欠乏食群よりも骨構築が進んでいるが, 対照群と比べると骨基質形成の低下があることがわかった.高亜鉛食群では骨構築が対照群よりも進んでいることがわかった.以上のことから成長発育期におけるラットで亜鉛が欠乏した場合は, 明らかに骨構築が抑制されていることがわかった.この結果は亜鉛を含む金属酵素が減少したためではないかと考えられる.また亜鉛を多く摂取しても骨に対して大きな影響は見られなかった.しかし血液中のCaが増加するなど骨構築に対し促進させるような動きがあることもわかったが, このメカニズムについてはいまだ不明である.
- 九州歯科学会の論文
- 1999-10-25
著者
-
西岡 孝浩
九州歯科大学口腔機能発達学分野
-
矢原 規考
九州歯科大学小児歯科学講座
-
戴 文瑜
九州歯科大学小児歯科学講座
-
大久保 和之
九州歯科大学小児歯科学講座
-
西岡 孝浩
九州歯科大学口腔機能発達学
-
西岡 孝浩
九州歯科大学 小児歯科
-
塚本 計昌
九州歯科大学小児歯科学講座
-
戴 文瑜
大学院歯学研究科
-
矢原 規考
九歯大・小児歯
-
塚本 計昌
九歯・小児歯
-
塚本 計昌
九州歯科大学口腔外科学第2講座
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