2. 脊椎動物におけるフェロモン受容体と2つの嗅覚系(<総説特集>ケミカルコミュニケーションの世界)
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概要
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脊椎動物には主嗅覚系および鋤鼻系という2つの独立した嗅覚系が存在する。フェロモンは主に鋤鼻系で認識される。げっ歯類では1型(V1R)および2型鋤鼻受容体(V2R)という2つの受容体群が鋤鼻器特異的に発現し、フェロモンの受容を担うと考えられている。近年V1Rは揮発性低分子のフェロモンを認識することが明らかになった。V2Rの機能はまだ確定されていないが、MHC分子と複合体を形成して不揮発性のフェロモンを受容する可能性が示されている。一方、げっ歯類以外の動物における鋤鼻受容体の発現様式はかなり異なった様相をみせており、両生類ではV2Rが、また偶蹄類ではV1Rがそれぞれ鋤鼻器神経上皮全面に発現している。しかもこれらの動物の鋤鼻受容体群は鋤鼻器ばかりでなく嗅上皮にも発現している。このことは、鋤鼻受容体を介した情報伝達経路が主嗅覚系に存在することを示唆する。鋤鼻受容体が主嗅覚系でどのように機能しているかを解析することは、鋤鼻器の存在しないヒトのフェロモン受容機構を解明する上でも重要であろう。
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