アスコルビン酸高音有性トマト品種の栄養系選抜による育成
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概要
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アスコルビン酸含量の高いトマト品種を栄養系選抜により育成した.最初にLycopersicon esculentum Mill.に属する432種類の育種素材について果実のアスコルビン酸(L-アスコルビン酸)含量,可溶性固形分含量,1果実重量(果重)を測定した.アスコルビン酸含量は28 mg・kg^<-1>から639mg・kg^<-1>の範囲に分布し全素材の平均値は247 mg・kg^<-1>であった.アスコルビン酸含量と果重の間には明確な相関関係は認められなかったが含量が極めて高いものには果重が10g程度以下のものが多かった.しかし果重が30g程度から60g程度のものでアスコルビン酸含量が500 mg・ kg^<-1>以上のものも幾つか見いだされた.アスコルビン酸音量と可溶性固形分含量には正の相関関係が認められ,高ビタミンかつ高精度の品種が育成可能であることが示唆された.これらの素材から22系統を母親,53系統を父親として選びこれらの間で694通りの組合せで交配を行った.次代を1組合せにつき10または20本栽培し,全個体のアスコルビン酸含量,可溶性固形分含量を測定した.それぞれの交配組合せ後代毎の平均アスコルビン酸含量は132 mg・kg^<-1>から388mg・kg^<-1>の範囲に分布していた.これらの後代の中から24個体を選抜した.これを生長点培養によるウィルスフリー化後栄養増殖してクローンとし,国内の複数の農場において夏秋栽培,抑制栽培,促成栽培の3つの作型で栽培し,年間を通してのアスコルビン酸含量,可溶性固形分含量,果重と収量を調査した.対照品種としでハウス桃太郎'または'桃太郎ヨーク'を同じ場所で栽培し比較した.その結果最終的にVT8を新品種として選定した.VT8のアスコルビン酸含量は220 mg・ kg^<-1>から365 mg・kg^<-1>の間を推移したが,常に対照品種の音量の1.5倍から2音を維持した.VT8の可溶性固形分音量は5.2%から7.2%の間を維移したが概ね6%以上であった.対照品種の可溶性固形分含量は4.5%から6.7%の間を推移した.VT8の平均果重は作型により変動したが57.6 gから72.8 g であった.VT8の3つの農場での抑制栽培での収量は対照品種とほぼ同等かそれ以上であった.VT8は栄養系選抜法によって素材の評価から3つの作・型での試作の完了まで3年間という非常な短期間で育成された.
- 園芸学会の論文
- 2005-01-15
著者
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渡辺 直樹
Jt植物開発センター
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萩森 学
日本たばこ産業(株)植物開発センター:(現)野菜茶業研究所機能解析部
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渡辺 直樹
日本たばこ産業(株)植物開発センター
-
斎藤 秀章
日本たばこ産業(株)植物開発センター
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由比 真美子
日本たばこ産業(株)植物開発センター
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加藤 紀夫
日本たばこ産業(株)植物開発センター
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白井 建史
日本たばこ産業(株)植物開発センター
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水野 博之
日本たばこ産業(株)植物開発センター
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大崎 仲介
日本たばこ産業(株)植物開発センター
-
斎藤 秀章
JT植物開発センター
-
水野 博之
JT植物開発センター
-
大崎 仲介
Jt植物開発センター
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白井 建史
日本たばこ産業(株)植物開発センター:(現)アサヒビール(株)未来技術研究所
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加藤 紀夫
日本たばこ・植物開発センター
-
白井 健史
日本たばこ産業(株)植物開発センター
-
萩森 学
日本たばこ産業(株)植物開発センター
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萩森 学
日本たばこ中研
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斎藤 秀章
日本たばこ産業 (株) 遺伝育種研究所
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