ストレスタンパク質とミクログリアによるアミロイドβ貪食機能
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概要
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小胞体はタンパク質の品質管理を行う細胞内小器官であり,その機能不全によって折り畳み構造の異常なタンパク質が増加・蓄積する.異常タンパク質の蓄積が基盤となり発症する疾患はコンフォメーション病と呼ばれ,アルツハイマー病(AD)などの神経変性疾患がその疾患の一つとして考えられている.AD脳では,細胞外におけるアミロイドβタンパク質(Aβ)の蓄積により形成される老人斑や,神経細胞内で異常リン酸化タウタンパク質の蓄積により形成される神経原線維変化が観察されるが,現在では,脳内Aβの蓄積がAD発症メカニズムの上流に位置すると考えられている.細胞外でのAβ蓄積に対するストレス応答反応として,ミクログリアが老人斑に集積するが,その役割は不明である.近年,我々は,ラット培養ミクログリアがAβ1-42(Aβ42)を貪食し分解すること,その貪食には低分子量Gタンパク質のRac1やその下流で働くWiskott-Aldrich syndrome protein family verprolin-homologous protein(WAVE)により制御されるアクチン線維の再構築が関与することを明らかにした.さらに,ミクログリアによるAβ42貪食は,ストレスタンパク質であるHeat shock proteins(Hsp)により増強され,反対に,核内タンパク質として知られるHigh mobility group box protein-1(HMGB1)により阻害されることがわかった.このような,ミクログリアによるAβ42貪食メカニズムの解明や調節に関する研究を基盤として,新規AD治療法の開発が期待される.
- 2004-10-01
著者
-
北村 佳久
京都薬科大学病態生理学
-
谷口 隆之
京都薬科大学病態生理学
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谷口 隆之
京都薬科大学病態生理学教室
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北村 佳久
京都薬科大学病態生理学教室
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高田 和幸
京都薬科大学病態生理学教室
-
谷口 隆之
京都薬大・病態生理
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谷口 隆之
京都薬科大学
-
高田 和幸
京都薬科大学生命薬科学系病態生理学分野
-
北村 佳久
京都薬科大学生命薬科学系病態生理学分野
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