輝度コントラストの加齢変化に基づく高齢者の色視認性評価法 : 計算シミュレーションと高齢者水晶体擬似フィルタ

概要

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色パターンの視認性において、輝度コントラストは重要な要因の1つであるが、高齢者の輝度感度関数は眼光学系の加齢変化によって若年者と異なっていることが指摘されている。したがって、若年者で高い視認性を与える配色デザインが、高齢者によい結果を与えない可能性があることが示唆される。本研究では、輝度コントラストに基づく高齢者の色の視認性を定量的に評価するために、網膜上のマンセル色票からの反射光の実効輝度と実効明度の値を年齢の関数として計算した。その結果、年齢が高くなるほど青系統の色票の実効輝度値は相対的に他の色票に比べて減少すること、ならびに年齢が高くなるほど赤系統の実効明度が他の色票よりも高くなることが示された。さらに、高齢者の色の視認性を評価するツールとして、高齢者の水晶体を若年者においてシミュレートできる人工的なフィルタを実際に作製した。計算シミュレーションと人工フィルタによるシミュレーションは共に、若いデザイナーが高齢者のための配色デザインの視認性を自分自身で検査できることから、有効な方法であると考えられる。
日本色彩学会の論文
2000-09-01