マクロファージ様細胞株におけるヒスタミン産生機構とその制御
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概要
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ヒスタミン産生酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)は, マスト細胞や好塩基球だけでなく, 炎症刺激を受けたマクロファージなどの非マスト細胞においても誘導される. 本稿ではマウスマクロファージ様細胞株RAW264. 7細胞を用いてマクロファージにおけるヒスタミン産生機構について概説する. RAW264. 7細胞をCa2+-ATPase阻害薬であるthapsigarginで刺激すると, HDC mRNAおよび74-kDa HDCタンパク質のレベルが増加し, 培養液中のヒスタミン量も増加した. これらはいずれもp44/p42 MAPキナーゼ活性化阻害薬により濃度依存的に強く抑制されたが, p38 MAPキナーゼ阻害薬では部分的にしか抑制されなかった. 同様の結果は, プロテインキナーゼC活性化薬12-O-tetradecanoylphorbol 13-acetateやlipopolysaccharideで刺激した場合においても認められた. したがって, マクロファージを刺激した場合のヒスタミン産生は, 74-kDa HDCタンパク質の発現増大によるものであり, この発現にはp44/p42 MAPキナーゼが大きく関与し, p38 MAPキナーゼの関与は部分的であることが示唆された. ステロイド性抗炎症薬dexamethasoneは, p44/p42 MAPキナーゼの活性化を抑制することにより74-kDaHDCタンパク質の発現を抑制し, ヒスタミン産生を抑制することも示唆された. 最後に, HDCの発現に関与する転写因子について考察した.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2001-07-01
著者
-
大内 和雄
東北大学薬学部
-
平澤 典保
東北大学 大学院薬学研究科 機能分子生化学分野
-
平澤 典保
東北大学大学院薬学研究科生活習慣病治療薬学分野
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平澤 典保
東北大学大学院薬学研究科 機能分子生化学分野
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大内 和雄
東北大学大学院薬学研究科
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大内 和雄
東北大学 大学院薬学研究科 機能分子生化学分野
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大内 和雄
東北大 大学院
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平澤 典保
東北大学大学院薬学研究科
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