ヒト歯根膜繊維芽細胞の接着分子に及ぼすPorphyromonas gingibalis 由来プロテアーゼの影響
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概要
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歯周病原因菌と言われる<I>Porphyromonas gingivalis (P.gingivalis)</I>由来プロテアーゼ(Arg-gingipain)のヒト歯根膜線維芽細胞の接着分子への影響を検討した.本実験では,<I>P. gingivalis</I>上清から43kDaのトリプシン様活性をもつArg-gingipainを分離精製し,24時間歯根膜培養細胞を刺激した.形態学的観察から16時間目より細胞は足場を失い浮遊し球状化し始めた.MTTアッセイによる細胞増殖率の判定では12時間目に上昇しその後減少した.また,細胞中のフィブロネクチン量は12時間目に上昇しその後減少した.歯根膜線維芽細胞はフローサイトメーターによって接着分子であるICAM-1 (inter-cellular adhesion molecule-1; CD54),VCAM-1(vascular cell adhesion molecule-1; CD106), VLA-4 (very late antigen-4; CD49d/cd29)の発現が認められた.これらの接着分子の発現は12時間目から16時間目まで上昇しその後下降した.以上の結果よりプロテアーゼの刺激は経時的に細胞に影響を与えることが形態的観察で明らかになった.本実験の培養条件下では,16時間で歯周病原因菌由来プロテアーゼが歯根膜線維芽細胞のフィプロネクチン量を減少させたがICAM-1,VCAM-1,VLA-4の発現が元進するという興味深い知見を得た.実際の口腔内では歯周組織破壊には歯周病原因菌が深く関与し炎症の緩解と増悪を繰り返しながら進行していく.本実験系から,細菌性プロテアーゼであるArg-gingipainによる急速な細胞破壊に至る過程で,細胞外マトリックスの破壊による細胞の接着能の減少が示されたことから,細胞の防御機構としてこれら接着分子発現の増強は減少した細胞一細胞外マトリックス間の接着を補うことが考えられる.あるいは,発現が亢進されてこれら細胞接着分子が細菌の細胞への付着能の増強に介在していることが考えられる.
- 1997-12-01
著者
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