発達障害児の表情認知に関する神経心理学的検討
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概要
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発達障害児における他者理解の特性を解明し、対人的スキル向上を支援する一貫として、表情認知の能力に焦点をあてた実験的検討を行った。高機能広汎性発達障害を中心とした発達障害児を対象に、様々な表情画像の中から特定の標的表情を検出する課題を設定して、その遂行成績や同時記録した脳電位(ERP)から、彼らの行動の背景にある認知機能や脳機能の特性を検討した。その結果、定型発達児と比較して、発達障害児は課題遂行の正確さと速さの両面で成績が低く(正答率が低い、誤答が多い、反応時間が長い)、表情認知能力の未熟さが確認された。ERP の主要成分についても、標的検出と関連したP550成分や標的との不一致を反映するN350成分が低振幅であり、脳内処理機構の未熟さが示唆された。また、発達障害児では、定型発達児とは異なり、発達に伴う課題遂行レベルやERP 成分の変動が見られなかったことから、表情認知やそれに関連した社会的スキルの力を訓練・支援する必要性が示唆された。
- 2009-12-25
著者
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