非行からの少年の立ち直りに関する生涯発達的研究(6)「出会いの構造」モデルの検証
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
非行の原因に関する研究は多いが,立ち直りの研究は少ない。Moffittは生涯発達の観点から個人と環境との相互作用を重視した非行のライフコースを明らかにしたが,私たちは自伝分析により「出会いの構造」モデルを提唱した。このモデルによると,非行からの立ち直りのためには援助者となる人との出会いが必要であり,その出会いのためにはひたむきに物事に取り組む力と抑うつに耐える力が求められるとした。このモデルを実証するための質問紙調査を行ったが,モデルと合致する結果と合致しない結果が得られた。それらを検討した結果,立ち直りの基準の置きどころの吟味や少年と援助者の相互媒介的な行為過程の解明などが今後の課題として提案された。This study is to clarify a recovery from delinquency, although causes of delinquency have been traditionally studied. First, we examine Moffitt's model that shows interaction between individuals and environments to produce the stop of their crimes. Second, we examine Deai-no-Kouzou (Structure of Encounter) Model, by which we propose that delinquent juveniles encounter significant others and the encounters move them toward the prosocial life. It hypothesizes that a capacity to deal with things eagerly and to tolerate depression will lead juveniles to productive social encounters. Third, we examine the findings of questionnaire study with 110 delinquent juveniles that provides the results supporting the hypothesis but also negatively predicting it. Fourth, for the further study, what a recovery is and how they encounter with people who provide an assistance to recover in terms of their perspectives need to be examined.
著者
関連論文
- 非行からの立ち直りにおける抑うつに耐える力とソーシャル・ネットワークとの関連
- 非行からの少年の立ち直りに関する生涯発達的研究(V) : 非行から立ち直った人への面接調査から
- 非行からの少年の立ち直りに関する生涯発達的研究(III) : リスク因子からの回復のライフヒストリー
- 非行からの少年の立ち直りに関する生涯発達的研究(II) : ライフヒストリーの分析
- 非行少年の効力感についての研究--非行の程度と効力感の関係について
- 13 少年の抑うつに耐える能力と非行からの立ち直り(自主シンポジウムD)
- 非行からの少年の立ち直りに関する生涯発達的研究(I) : Sampson & Laub の検討
- なぜ非行から立ち直ることができるのか--立ち直りに関係する力と援助者との出会い (日本犯罪心理学会第44回大会発表論文集)
- PA092 少年の非行からの立ち直りに関係する能力(2) : ひたむきに物事に取り組む能力について(ポスター発表A,研究発表)
- PA091 少年の非行からの立ち直りに関係する能力(1) : 抑うつに耐える能力について(ポスター発表A,研究発表)
- 29 少年が非行から立ち直るのはなぜかを考える(自主シンポジウム)
- 非行からの少年の立ち直りに関する生涯発達的研究(IV) : わが国における縦断研究の展望
- 非行少年が成人犯罪者となるリスク要因に関する研究(III 研究ノート)
- 非行からの少年の立ち直りに関する生涯発達的研究(6)「出会いの構造」モデルの検証