メディアが報じる宗教の社会貢献的活動--宗教記事データベース(2004年〜2007年)の分析を中心に
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概要
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本稿は,今日の日本における宗教の社会貢献的活動について,宗教情報リサーチセンターの宗教記事データベース所収の過去3年半分(2004年~2007年)の記事を分析対象として,その全体的な概要を把握した研究ノートである。分析に際して,まず,この分野における近年の先行研究を整理した。次いでコード化のための整理枠組みとして1)宗教カテゴリー,2)活動内容カテゴリー,3)媒体カテゴリーの3カテゴリーを設定し,特に1),2)についてクロス表集計を通じて特徴を検討した。その結果,以下の3点が明らかになった。第1に,報道件数は,既成仏教が最も多く,キリスト教がそれに次ぎ,神社神道と新宗教は少なかった。第2に報道件数は年末年始が多く,逆に7,8月には少なくなるというパターンが存在する。第3に,活動内容については「寄付・奉仕活動」と「医療・福祉活動」の報道が多い。特に,「寄付・奉仕活動」は新宗教が,「医療・福祉活動」はキリスト教がそれぞれ最大値を示している。さらに,記事タイトルに登場した活動主体をリストアップし,その中から特に活動の目だった活動主体数例の概要を紹介し,分析結果を補足した。特に,ひきこもり・不登校の青少年を支援する既成仏教関連の組織,および,障害者や生活困窮者へのサポートするキリスト教系の団体の概要をやや詳細に提示した。最後に,今後の課題として以下の3点を指摘した。1)本研究の結果には分析対象であるメディアの報道傾向がどの程度映されているのか明らかにする必要がある。2)社会貢献的活動の意味内容の外延と内延の明確化が必要である。3)宗教の社会貢献的活動を市民社会論や非営利組織論に組み込む形で論ずることによって研究の幅を広げることが可能になる。
- 北海道大学大学院文学研究科の論文
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