病院のコンプライアンス,保険者のモニタリング,および政府の罰則強化策--日本の医療保険制度改革に向けて
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概要
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わが国において国民医療費の増大を抑制するために,いろいろな方策が考えられている。その1 つが,診療報酬制度の改革,とりわけ現行の出来高払い制から包括払い制への移行である。しかし,包括払い制には過少診療の可能性という重大な欠陥がしばしば指摘されている。本稿の主張点は次のようである。もしも政府が過剰診療を行う病院を適切に罰することができる罰金制度を導入するならば,現行の出来高払い制はうまく機能するであろう。本稿では次のような結論を導く。(1)不正に診療報酬を請求していた病院に対して課された罰金が,病院全体に平等に返還されるならば,家計の効用が,政府が課す罰金の率(罰則率)とともに増大するだけでなく,病院の利潤も罰金制度導入以前に比べて増大するであろう。この場合,病院の利潤を最大化するような政府の罰則率が存在する。(2)もしも罰金がそれぞれの家計に配分されるならば,家計の効用は罰則率とともに増大するであろう。しかも,病院の利潤は罰則率に依存せず,罰金制度の導入以前と変わらない。
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