1975から2000年における日本女性の労働供給構造--就業意欲喪失効果と追加的労働力効果の観点から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
先行研究によって,1990年代の日本の景気後退期において失業からの非労働力化が低下する傾向が指摘されている。本稿の目的は,女性の労働供給における就業意欲喪失効果および追加的労働力効果について,1990年代に特有な構造的変化があったのか,変化が見られるならばその要因について分析することにある。フローデータの要因分解によると,1993年ごろから女性の就業意欲喪失効果が減少し,女性の追加的労働力効果が増大している可能性が推測される。しかし,フローデータを利用して実証分析を行うと,就業意欲喪失効果の減少と追加的労働力効果の増大は,1993年以前に比べ,1993年以降の期間に特別な要因があったためではなく,1993年以降の急激な男性完全失業率の上昇と近年の水準を大きく越えるその高水準とが,女性にとっての期待世帯収入を大きく減少させることを通じ,女性の就業意欲喪失効果を減少させ,また,追加的労働力効果を増大させたといえる。
- 関東学院大学経済研究所の論文
関東学院大学経済研究所 | 論文
- 技術の社会的収益と私的収益の比較 : アローの潜在社会的収益の再検討
- 技術ライセンスと販売地域制限
- 再生産構造の国際的展開と日本経済 : アジア規模での再生産構造における日本経済の位置
- 1985年以降日本における設備投資の産業連関構造 : 1985,90,95,2000年の固定資本マトリックスの検討を中心にして
- 1985年以降日本の再生産構造の変容 : 1985,1990,1995,2000年の産業連関表の組み替えによる