complex partial seizuresの難治例に対するcarbamazepine(CBZ)とphenobarbital(PB)の2剤併用治療
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概要
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最近のてんかん治療は血中濃度の測定が行われるようになり, 多剤併用治療の問題点が指摘され, 血中濃度モニターによる第一選択薬の単剤治療が行われるようになった。今回われわれは, 従来の多剤併用治療で発作が消失しない症例(全例が部分てんかん)に, CBZ単剤治療あるいはCBZを含む多剤大量治療を行い, それでもなお発作が抑制されない難治症例にPBを追加投与し, CBZとPBの2剤併用治療を行った。対象は10例(男4例, 女6例)で, 平均年齢は36.2±15.5歳。初発年齢の平均は14.4土13.7歳。発作型は, 全例が複雑部分発作だった。結果 : (1)CBZとPBの2剤併用治療成績は, 発作消失が1例, 75%以上減少が1例, 50%以上減少が1例, 不変が7例だった。(2)脳波は, 発作消失と75%以上減少した2例で改善(てんかん波が消失)し, 他の8例は不変だった。(3)既往歴およびCT-scanの異常は, 発作改善例では無く, 発作不変例が7例中4例と多かった。(4)PBの投与量は, 発作消失が100mg/day(15.3μg/mZ), 75%以上減少が200mg(31.3μg/mZ), 50%以上減少が150mg(34.5μg/mZ), 不変の7例の平均値が214mg(30.8μg/ml)だった。以上から, CBZ単剤治療で抑制されない複雑部分発作の難治例に対して, その後の治療にPBを追加した2剤併用治療が30%の症例に有効で, 比較的良好な結果が得られた。しかし, 70%の症例が無効であったことは, 更に他の方法が必要であることを示している。今後, 単剤治療後の難治例に対し, 各種の2剤併用治療を試み, その有効性と限界を検討する必要があると考えられた。
- 日本てんかん学会の論文
- 1988-10-31
著者
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