てんかん患者の脳波基礎活動のコンピュータ分析
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概要
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成人のてんかん患者を発作型および経過の良否に分け, Fp1,C3,01の3部位の脳波基礎律動をコンピュータ分析し比較検討した。対象の年齢は20〜56歳で, 発作型はprimary generalized epilepsyでtonic-clonic seizure(P-GTC)を示す8例と, partial epilepsyでcomplex partial seizure(CPS)を示す33例である。3年以上発作のない症例をP-GTC(-), CPS(-), 3年未満の期間に発作が出現している症例をCPS(+)とした。結果は, 1)健康成人との比較では, P-GTC(-)で3部位ともβ波出現量が多く, CPSで3部位ともα波出現量が少なく, θ波およびβ波出現量が多く, θ波の振幅が高かった。2)P-GTC(-)とCPS(-), CPS(+)の比較では, CPS(-)およびCPS(+)ともにFp1のθ波出現量が多かった。またCPS(-)およびCPS(+)では, P-GTC(-)に比し3部位ともθ波出現量の患者間のばらつきが有意に大きかった。3)CPS(-)とCPS(+)間の比較では差がなかった。4)P-GTC(-)の脳波基礎律動については正常例が多く, CPS(-), CPS(+)の基礎活動についてはともに正常から徐波異常まで幅広く分布していた。5)抗てんかん薬(1日服用量)と脳波の各基礎律動成分(α, θ, β波出現量および振幅)の間には有意な相関は認められなかったが, 薬物と脳波との関係については, 単剤投与における詳細な検討が必要と考えられた。
- 日本てんかん学会の論文
- 1986-04-30
著者
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