出生前診断された先天性横隔膜ヘルニアの治療成績と今後の課題
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概要
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【目的】先天性横隔膜ヘルニア(CDH)は,gentle ventilation の普及により治療成績は向上したが,重症のCDH はいまだ救命できない症例が少なくない.これまでの当センターの治療成績と,特に重症CDH の現状について調査した.【方法】2006 年1 月から2012 年12 月までに,当センターにて治療を行ったCDH 61 例のうち,出生前診断されたisolated CDH 52 例を対象とした.肝脱出の有無と胃の位置から3 群に分類し(北野分類),後方視的に検討した.【結果】患者分布は48%が北野分類Group I,次いで29%がGroup III,23%がGroup II であった.肺低形成の指標はL/T 比,o/e LHR ともに,北野分類の重症度と有意差が認められた.肺高血圧治療に要したNO の投与期間は各グループ間で差がなかったが,人工呼吸管理,酸素投与,入院期間では,Group I とGroup II,あるいはGroup III との間で有意な治療期間の延長を認めた.手術不能例,パッチ必要率ともに重症度が高くなるにつれ有意にその割合は高くなった.全体の生存率は80.8%,Group III の生存率,合併症なき退院の割合はそれぞれ53.3%,40.0%であった.【結論】北野分類Group III の生命予後は不良であった.Group II・Group III では,人工呼吸管理や酸素投与など肺高血圧の治療プロセスにおいても機能予後に重症度の差が見られた.Group III は救命率が低く生存した症例でも後遺症の合併率が高頻度であるため,生命予後・機能予後の改善を目的とした胎児治療を考慮する必要がある.
- 特定非営利活動法人 日本小児外科学会の論文
特定非営利活動法人 日本小児外科学会 | 論文
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