種々の画像診断を行った産褥期特発性冠動脈解離の1例

概要

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症例は産後2カ月，33歳，女性．既往歴なし．冠危険因子なし．喫煙歴なし．食事中，突然の胸痛を自覚し救急車で来院．心電図では下壁誘導でST上昇を認め，急性冠症候群の疑いで緊急冠動脈造影を施行した．右冠動脈seg1からseg2にかけて75％狭窄を認めたが症状改善しており冠攣縮性狭心症として保存的治療により経過観察とした．第10病日の冠動脈造影ではseg2 99％と狭窄の進行を認めたが症状ないため経過観察．翌日の冠動脈CTで一部血栓化したと考えられる偽腔を認め特発性冠動脈解離と診断した．第29病日冠動脈CTで偽腔の縮小，第31病日冠動脈造影でも狭窄は改善傾向を認めた．血管内超音波では一部血栓化したと考えられる偽腔を認め確定診断を得た．若年女性，特に周産期における特発性冠動脈解離は少なからず報告されているが治療方針について明確なものは存在しない．冠動脈造影・冠動脈CTおよび血管内超音波を用いて冠動脈解離と診断し，保存的加療にて軽快した症例を経験したので報告する．
Japan Heart Foundationの論文