肝動脈化学塞栓療法併用の定位放射線療法後,短期間で腫瘍の急速な進展,および多発遠隔転移を来した肝細胞癌の1例
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概要
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症例は78際女性.B型肝炎治療中に腹部超音波検査および腹部造影MRI検査にて,肝S1とS6に腫瘤を指摘された.前医にて肝細胞癌(HCC)と診断のもと,2013年8月に肝動注化学塞栓療法(TACE)が施行された.治療1カ月後のCT検査にて,肝S1 HCCへのリピオドール沈着が不良であり,追加加療目的で当院へ紹介となった.2013年10月,血管造影検査を施行した.肝S1 HCCは右下横隔動脈からの血液供給を受けており,同血管よりTACEを施行し,局所制御能を高めるため,同腫瘍に対し,体幹部定位放射線治療(SBRT)を行った.SBRT後は特に有害事象なく,治療終了後に退院となった.退院後21日目に食思不振にて緊急入院となり,CT検査にて多発肺転移,鎖骨上窩リンパ節転移,腹膜播種,臍転移,多発肝内再発の所見を認めた.全身状態は急激に悪化し,初回TACE施行後3カ月半で永眠された.TACE併用SBRTの有用性が報告される中,治療後に予後不良な経過を辿った1例を経験した.文献的報告を加え報告する.
- 一般社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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渡辺 次郎
公立八女総合病院病理
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永松 洋明
公立八女総合病院内科
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出口 章広
公立八女総合病院内科
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森田 俊
公立八女総合病院内科
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渡辺 次郎
公立八女総合病院病理診断科
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筒井 りな
公立八女総合病院内科
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水上 直久
公立八女総合病院放射線治療科
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小野 典之
公立八女総合病院内科
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