Staphylococcal scalded skin syndrome(SSSS)の発症におけるタンパク分解酵素の役割
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概要
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Phage2群の黄色ブドウ球菌(黄ブ菌)より粗抽出したexfoliative toxin(ET)と,生後3日以内のjladdY系マウスの表皮を反応させた溶液の上清について,caseinolytic activityを測定したところ,controlに比較し,約2.7倍以上のactivityが測定された.しかしながら,生後8日目のマウスの表皮とETを反応させた溶液では,caseinolytic activityの上昇は証明されなかった.また,このactivityはα2-macroglobulin(α2-M)を添加することにより完全に阻害された.本実験の結果より,ETにより表皮細胞中のproteinaseが活性化されるか,表皮細胞内でのproteinaseの産生が促進されるか,あるいは逆に,ETによりproteinase inhibitorが不活化されるか,などの機序により,表皮中のある種のproteinaseが発動し,staphylococcal scalded skin syndrome(SSSS)にみられる広範囲な表皮の剥離が生じるのではないかと推測された.さらに,このcaseinolytic activityの上昇が,生後8日目のマウスの表皮を用いた実験系からは証明されなかったことより,SSSSがほとんどすべて新生児・乳児・小児にのみ発症する理由について,加齢と共にproteinaseの制御機構がほどよくコントロールされるようになってくるのではないかと推測された.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
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