Staphylococcal scalded skin syndrome(SSSS)の発症機序に関する考察
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概要
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Staphylococcal scalded skin syndrome(SSSSと略)患者より分離した黄色ブドウ球菌(黄ブ菌と略)を,trypticase soy brothに培養し,これより粗抽出したexfoliative toxin(ETと略)をnew born mouseに皮下注射すると13.75μg以上の濃度にて,12時間後に広範囲なNikolsky sign(N.signと略)の形成が観察された.この13.75μgの粗抽出ETと各種の濃度のN-ethylmaleimide(NEMと略)又はiodoacetic acid(IAAと略)を混合後,new born mouseに皮下注射しN.signの形成を観察した.結果は,0.5mM以上のNEM又は,0.25mM以上のIAA添加の系ではN.signの形成が阻止された.しかし,この阻止されたmouseを5℃にて保つと48時間後にN.signの形成がみられた.N.signの阻止がみられた0.5mM NEM添加の系に,12時間後の時点で,さらに0.125mM以上の濃度のNEMを注射しておくと,N.sign陰性は,少くとも72時間後までは持続した.組織所見においても,0.5mM NEM添加の系では,顆粒層直下での剥離が全く認められなかった.これらの結果からは,表皮に到達したETが細胞に働く結果,cysteine系のproteinaseを活性化させ,そのproteinaseをSH試薬が阻害することにより,new born mouseにN.signが形成されなかったものと推測された.しかしながら,SH試薬が,表皮の細胞のSH基に結合し,細胞の構造上の変化を生じ,ETの作用を波及させなくしている可能性も否定できなかった.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
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