チロジナーゼ活性陽性型白皮症動物モデル(チンチラマウスCch/Cch)の毛母メラノサイトのチロジナーゼ活性と超微構造
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概要
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ヒトの全身性(汎発性)白皮症 oculocutaneous albinism を Witkop らは6型に分類し,それぞれ遺伝子を異にすることを報告した.これらのうちチロジナーゼ活性陰性型は生体内でも試験管内でもチロジナーゼ活性が全くないもので,メラノサイト内メラノソームにメラニン化は起こらず,白毛,青い眼,ピソク色ないし向い皮膚を有し,水平方向の眼球振盪,羞明,視力障害などが著しい型である.一方,チロジナーゼ活性陽性型は生体内ではメラニン色素の形成は行なわれてはいるが完全ではなく,通常のメラニン化はみられない.しかし,試験管内ではメラノサイトのチロジナーゼ活性は陽性に認められ,一般に成長と共に皮膚,毛,眼の色素が増してくる型である. マウスの白皮症ではメラノサイトのチロジナーゼ活性は陰性でるが,肉眼的にこの白皮症マウスと同様に白毛,赤い眼を有するマウスでメラノサイトのチロジナーゼ活性が試験管内で陽性の種がある.このマウスはチンチラ(chinchilla, Cch/Cch)といわれるもので,このことはヒトにおける全身性向皮症のチロジナーゼ活性陰性型と陽性型との関係に似ている.しかし,チンチラマウスは加齢しても色素が増加してくることはない. 我々はこのチンチラマウスを用いて毛球部メラノサイトの超微構造の観察とチロジナーゼ活性について検索し,生体内ではほとんどのメラノソームが第2期で滞まっており,試験管内でチロジン溶液あるいはドーパ溶液に浸漬するとノラノソームおよび GERL に反応物質が沈着し,チロジナーゼ活性は陽性であると考えられた.白皮症マウスは試験管内でもチロジナーゼ活性は陰性であり,メラノソームのメラニン化は全く認められない. チンチラマウスはヒトのチロジナーゼ活性陽性型全身性白皮症の動物モデルとしてその酵素活性の抑制に関する面からの追究に供されるものと考えられる.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
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