実験皮膚腫瘍に対する局所温熱・凍結併用療法に関する研究
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概要
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温熱療法および凍結療法は皮膚悪性腫瘍に対して集学的療法の一つとして行われている.今回,我々はC3H/Heマウスに自然発生した可移植性腫瘍を用いて局所温熱療法,凍結療法および温熱・凍結併用療法を行い,経時的に直後,6時間後,24時間後,48時間後に各々5群のC3H/Heマウスにおける腫瘍の組織学的および電子顕微鏡的検討,またBromodeoxyuridine(BrdU)による標識率の検討を行い,以下の結果を得た.温熱療法後の組織学的および電顕的所見は,腫瘍巣上層の細胞は全経過で変性像を示し,またBrdU標識率は対照より低値で,経時的な増加傾向は認められなかった.腫瘍巣下層部では核・細胞質ともにintactに保たれた腫瘍細胞が認められ,BrdU標識率は全経過で対照より低値であったが,経時的に増加した.凍結療法後の組織学的および電顕的所見は,腫瘍巣上層部の腫瘍細胞は全経過で変性像を示し,またBrdU標識は認められなかった.腫瘍巣下層部では核・細胞質ともにintactに保たれた腫瘍細胞が認められ,BrdU標識率は経時的に増加したが,温熱療法時より低値であった.温熱・凍結併用療法時の組織学的所見は,全経過で温熱または凍結単独療法時と比較して,腫瘍巣のより下層部まで細胞の変性像が示された.電顕的には,腫瘍細胞の核は低電子密度で無構造になり,細胞内小器官はまったく認められなかった.分裂期の細胞は細胞質に明確な小器官はまったく認められず,温熱または凍結単独療法時と比較してより高度の変性を示した.48時間の経過では,腫瘍巣の下層部まで同一な変性壊死像を示した.BrdU標識率では,48時間の経過で,腫瘍巣上層部は標識されず,下層部では経過と共に次第に増加した.本併用療法は凍結療法の所見と類似するが,標識率は全経過で凍結療法時より低値であった.以上の結果から,温熱,凍結併用療法時においては温熱または凍結単独療法よりも変化が均質でより深層まで作用することが認められ,臨床的に本法は表在性の皮膚腫瘍に対する治療法として用いられると考えられた.
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