らい新患発生の減少―流行終焉期のらいの疫学的状況―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
らいの新患発生の状況について,1981年から1991年の全国調査の結果を報告した.この間の新登録患者数は日本人320名(男195,女125,以下同),外国人24名(17,7)であった.1)日本人患者:年間新患数は1981年の47名(32,15)を最高に徐々に減少し,1990年より10名台になった.病型はLL・BL,BT・TTが多いM字型分布を示した.患者の出身地は沖縄県が総数の三分の二を占めたが,近年は本土とほぼ同数になっている.年齢分布は本土で高齢層にピークのある一峰性,沖縄県では若年層,中年層にもピークのある多峰性の分布を示した.若年発病者の減少が著しい.患者の22%に家族内発病者があり,感染源が判明していたのは21%であった.少数ながら配偶者からの感染があった.患者の発生は散発的で,新患周辺の集団発生を認を認めなかった.新患数の減少は奄美・沖縄での発生の減少によるところが大きく,沖縄でも本土型に移行してきている.新患数減少に伴い,男女比の接近,患者の高齢化,LL/TT比の接近,都市近郊での発見の増加などの現象が見られた.これらはらいの流行が終焉しつつあることを示唆するものと考える.2)外国人患者:患者出身地には移住の状況が如実に反映し,近年は南アメリカからの日系人患者が目立っている.少数となった日本人患者も含めて,らいの外来診療体制の整備が必要である.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
著者
関連論文
- 臨床的薬剤耐性疑い例のらい菌遺伝子変異検査
- ハンセン病化学療法の今後の課題
- 今後のハンセン病化学療法の課題
- ハンセン病の初診から治療まで
- らい懇話会(現ハンセン病懇話会)の歩み
- らいの臨床
- らいの夫婦発症例
- ハンセン病治癒判定基準
- ハンセン病新規患者の統計解析(1993年-2000年)
- ハンセン病治療指針
- 四年半の不規則治療の後に, 未分化群の組織を呈する皮疹をほぼ全身に再燃した境界群(BT)ハンセン病の一例
- ハンセン病夫婦間感染例 ─症例報告とレビュー
- 組織学的に汗腺癌と考えられる頭部の巨大腫瘤
- 組織学的に汗腺癌と考えられる頭部の巨大腫瘤
- らい新患発生の減少―流行終焉期のらいの疫学的状況―
- らい(ハンセン病)外来診療についてのアンケート調査結果について