アルコール性慢性膵炎による膵性糖尿病の治療経過中に著明な低カリウム血症をきたした1例
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概要
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55歳男性.アルコール多飲歴あり.2011年5月に糖尿病性ケトーシスの診断で当院に入院し,腹部CT検査と膵機能検査からアルコール性慢性膵炎による膵性糖尿病と診断.2012年7月頃より慢性下痢と体重減少が出現.12月に四肢脱力が出現し,当院へ搬送された.受診時の血液検査で著明な低カリウム血症(1.4 mEq/l)を認めた.入院後より経静脈的カリウム補充療法を行い,経静脈的総カリウム投与量は約872 mEqであった.脂肪便による慢性下痢は脂肪制限食,膵消化酵素補充療法とプロトンポンプ阻害薬で改善した.本症例の低カリウム血症の原因はアルコール多飲による慢性的なカリウム摂取不足と消化吸収不良に伴う慢性下痢によるカリウム喪失が考えられた.慢性膵炎の非代償期は膵内外分泌機能の低下によって耐糖能障害や消化吸収不良を,更にはそれらの病態による重篤な合併症を生じるため注意深い観察と早期の治療が必要である.
- 一般社団法人 日本糖尿病学会の論文
著者
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鎌田 裕二
北里大学医学部内分泌代謝内科学
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七里 眞義
北里大学医学部内分泌代謝内科学
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林 哲範
北里大学医学部 内分泌代謝内科学
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大村 和規
北里大学医学部内分泌代謝内科学
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鈴木 陽彦
北里大学医学部内分泌代謝内科学
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正木 嗣人
北里大学医学部内分泌代謝内科学
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高野 幸路
北里大学医学部内分泌代謝内科学
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