急速に空洞が拡大した胸髄血管芽腫による脊髄空洞症の1例
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概要
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症例は35歳の男性である.とくに誘因なく右手掌にしびれ感を自覚した.2ヵ月間で右前腕まで拡大し左手掌にも一過性に感覚異常を自覚し,当科初診した.脊髄MRIでC3~Th10にわたり空洞と周囲のT2高信号(presyrinx state)をみとめた.当初は炎症性疾患をうたがいステロイドを投与したところ,症状は一過性に改善したがふたたび悪化した.6ヵ月間でpresyrinx stateが空洞形成に先行しながら延髄まで上行拡大した.その後Th10レベルの腫瘍が明らかとなり,脳神経外科にて摘出術を施行し血管芽腫と判明した.手術後感覚障害,画像所見とも著明に改善した.頸髄レベルの脊髄空洞症では下位の脊髄の検索が必要である.
- 日本神経学会の論文
著者
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饗場 郁子
国立病院機構東名古屋病院神経内科
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齋藤 由扶子
国立病院機構東名古屋病院
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犬飼 晃
国立病院機構東名古屋病院神経内科
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片山 泰司
国立病院機構東名古屋病院神経内科
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田村 拓也
国立病院機構東名古屋病院神経内科
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榊原 聡子
国立病院機構東名古屋病院神経内科
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