膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN),胆管狭窄の質的診断における膵・胆道内視鏡:スパイグラス(Spyglass)の有用性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
【背景】近年,本邦で新しく導入された膵・胆道内視鏡,スパイグラス(Spyglass:Boston scientific社製)は細径ながら4方向のアングル機能を兼ね備えたDisposable経口膵・胆道内視鏡である。【目的】膵・胆道疾患におけるスパイグラスの病変観察能,生検診断能を検討した。【対象と方法】胆膵疾患精査目的の10例に対し,スパイグラスを用いた膵・胆道内視鏡を行った。内訳は膵管内乳頭粘液腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)5例,胆管狭窄5例(胆管癌2,膵癌1,良性狭窄2)である。【結果】乳頭切開後症例を含め,全例で乳頭口からの挿入が可能であった。深部挿入に関し,膵管では2例が尾側まで挿入可能,胆管では4例(80.0%)が1次分枝,1例(20.0%)は肝門部まで挿入可能であった。病変観察は全例で行うことができ,また水平進展度診断は胆管癌では1/1例,IPMNでは3/5例(60.0%)で病変範囲の評価が可能であった。 内視鏡直視下生検は試みた9例中8例(88.9%)で検体採取でき,採取された検体はすべて病理組織診断による診断が可能であった。最終的にスパイグラスにより,9/10例(90%)で診断確定が得られた。【結論】スパイグラスは膵,胆管への深部挿入が容易であり,良好な病変観察能に加え,良質な検体採取が可能であった。今後,IPMN,胆管狭窄の精密な診断に有用であると考えられた。
- Japan Gastroenterological Endoscopy Society Kanto Chapterの論文
Japan Gastroenterological Endoscopy Society Kanto Chapter | 論文
- EUS-FNAで確定診断し得た膵内副脾の1例
- 内視鏡下に砕石した胃穿孔合併栗胃石の1例
- 拍動性大量出血に対し,経カテーテル動脈塞栓術を併用することで内視鏡的に止血し得た潰瘍性大腸炎の1例
- 保存的に経過観察しえた虚血性胃症の1例
- 内視鏡的粘膜下層剥離術で一括切除しえた胃噴門部のEMR後遺残再発癌の1例