ATP拭き取り検査による強酸性電解水洗浄効果判定について
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概要
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消化器内視鏡の洗浄において,従来からグルタルアルデヒドが用いられてきたが,人体への影響等が指摘されている。近年導入され始めている強酸性電解水は安全性の面で優れている一方で,洗浄効果の安定性に問題があるとされている。当院では,グルタルアルデヒドによる洗浄に加え,数年前から強酸性電解水洗浄機を導入している。洗浄効果の判定において,今回ATP(アデノシン三リン酸)拭き取り検査機「ルミテスター」を使用し,強酸性電解水自動洗浄機の洗浄効果判定を行った。判定方法は,事前の手洗い洗浄後と自動洗浄機による洗浄後の2回,内視鏡の4部位(吸引口,送気送水口,鉗子口,先端レンズ面)をルミテスター専用綿棒で拭き取り,合計10本の内視鏡について測定した。測定値は相対発光量(RLU)で示され,内視鏡の清浄度としては100RLU以下に保つことが推奨されている。結果(手洗い洗浄後平均値/強酸性電解水洗浄後平均値)は吸引口11.3/10.3(RLU),送気送水口48.1/23.8,鉗子口34.9/24.4,先端レンズ面97.5/16.2となり,手洗い洗浄だけでも十分な洗浄効果が得られていることが確認されたが,先端レンズ面はさらに自動洗浄機による洗浄が必要であることが示唆された。安全性が高いとされる強酸性電解水洗浄において洗浄効果の維持管理のために,ATP拭き取り検査が簡便で有用であることが確認できた。
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Japan Gastroenterological Endoscopy Society Kanto Chapter | 論文
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