大腸内視鏡検査における盲点の検討――上行結腸における「盲腸内反転法」の有用性
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概要
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大腸内視鏡検査は解剖学的に,観察上の盲点が生じうる。そのなかで上行結腸はヒダ裏側(口側)が盲点となり,病変が見逃されやすいと言われている。これを避けるため「盲腸内反転法」が提唱されている。無理のない状態での通常観察後に,盲腸付近でアップアングルを最大にかけ,押し込み操作(場合によりサイドアングルや捻り操作を追加)で上行結腸を見上げ,引き抜き操作で盲腸から肝彎曲部付近のヒダ裏側の観察を行った。今回の検討では48例中25例(52.1%)で反転観察が可能であった。通常観察で上行結腸に14病変を認め,反転観察で初めて指摘されたのは2病変であり,見逃し率は16病変中2病変(12.5%)であった。通常観察14病変では5mm以下が11例,6~10mmが3例。一方,反転観察で指摘された2病変のうち,5mm以下が1例のほか,8mmの広基性ポリープが反転観察で初めて指摘され,反転にてEMRを施行した。病理組織学的診断では腺腫であったが,形態や病変位置により,ある程度以上の大きさでも見逃し病変があり得る。また。一般に微小病変でも悪性腫瘍が隠れている可能性があり,見逃しをなるべく避ける必要がある。さらにヒダにまたがるような病変の範囲の検討および加療にも有効な手技と考えられる。通常観察が基本であり重要であるが,盲腸での反転観察も病変の発見・存在診断の補助,また内視鏡治療時にも有用なものと思われ,可能であれば試みるべきであると考える。
- Japan Gastroenterological Endoscopy Society Kanto Chapterの論文
Japan Gastroenterological Endoscopy Society Kanto Chapter | 論文
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