Helicobacter pylori除菌治療に伴う血液学的変化の観察
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概要
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Helicobacter pylori陽性例の除菌治療に伴う血液学的変化を除菌成功例(122例),不成功例(15例)において観察し,除菌治療とは無関係の66例(対照群)とも比較した。対照群はプロトンポンプ阻害剤(PPI),H2ブロッカー,防御因子製剤の投与されているものが大部分を占めている。除菌群の血液,肝機能検査は,除菌前とPPI,アモキシシリン,クラリスロマイシンを7日間投与した2カ月後に,対照群は初診時と2カ月後に行った。除菌成功例では白血球増加(7.3%,そのうち高度増加例は2.7%),赤血球減少(8.4%),Hb減少(9.1%),Ht低下(8.1%),血小板減少(12.4%)が,除菌不成功例では赤血球減少(8.3%),Hb減少(20.0%),Ht低下(6.7%),血小板減少(30.8%)がみられた。対照群においても類似した傾向を示したが白血球高度増加例は認められなかった。一方,除菌成功例における肝機能検査値をみると,GOT,GPT,γ-GTP,LDHが上昇しており(各々4.1%,3.3%,5.1%,12.6%),除菌不成功例,対照群も同様の上昇率だった。除菌成功例では急性薬物性肝障害が1例存在した。除菌成功例,不成功例における血液,肝障害の頻度に差は認められなかった。対照群においても血液,肝障害がみられ,治療薬の影響が考えられたが,白血球高度増加,急性薬物性肝障害は認められなかった。除菌治療に伴う血液障害は添付文書に記載されている頻度(5%未満)より高く,血液,肝障害に十分注意を要することが示された。
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Japan Gastroenterological Endoscopy Society Kanto Chapter | 論文
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