Helicobacter pyloriの薬剤耐性に関する生検部位別検討
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概要
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プロトンポンプ阻害剤(PPI),アモキシシリン(AMPC),クラリスロマイシン(CAM)を用いるHelicobacter pylori(Hp)除菌治療により80~90%の除菌率が得られている。しかし,耐性菌の増加に伴う除菌率の低下が報告されている。胃体上部大彎側から採取した切片の薬剤感受性試験に基づき,PPI+AMPC+CAMまたはメトロニダゾール(MNZ)による一次除菌療法を実施していたが,除菌不成功例を経験した。その原因を知る目的で,除菌歴のない胃体部群(胃体上部大彎側から切片を採取)66例,胃体部・前庭部群(前庭部下部大彎側,胃体上部大彎側から切片を採取)45例において薬剤感受性試験(寒天平板希釈法)を行った。AMPC耐性例は1例もみられなかった。胃体部群のCAM,MNZ耐性率はそれぞれ22.7%(15/66),1.5%(1/66)であった。胃体部・前庭部群の2個の切片のうち何れかまたは両方にCAM,MNZ耐性菌のみられた頻度はそれぞれ28.9%(13/45),4.4%(2/45)であった。この成績より,胃体部群に比し胃体部・前庭部群で耐性率の高いことが示された。CAM,MNZ多剤耐性例はみられなかった。胃体部・前庭部群のうち,3例のCAM耐性例(6.7%),2例のMNZ耐性例(4.4%)は感受性の異なる菌の同時感染であった。胃内の2箇所から採取した切片の薬剤感受性検試験に従い除菌治療を行うことが,一次除菌不成功例を減らし,耐性菌を増やさないためにも有用と考えられた。
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Japan Gastroenterological Endoscopy Society Kanto Chapter | 論文
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