「曲げわっぱの森」の102年生秋田杉を用いた大館曲げわっぱ開発:サステナブルなものづくりに向けた伝統工芸産地の試み
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概要
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伝統的工芸品大館曲げわっぱの主材料は秋田杉である。その特徴は、細かい均等な年輪の揃った鮮紅色かつ明るい優美な柾目であり、それ故に弾力に富んでいることである。これらの特性を活かして大館曲げわっぱは作られているが、平成24年には、国有林からの天然秋田杉の供給がストップする計画である。そこで代替材料の使用に向けた先行研究として、「平成21年度伝統的工芸品大館曲げわっぱ意匠開発事業」を実施した。「曲げわっぱの森」(樹齢102年生)の杉を3本採取し、材料の特性分析と定性的評価、そして材に見られる課題を克服するためのデザイン研究を進め、本事業における基本コンセプトを「材にしたがう、材に合わせる」とし、合計24点の試作を制作した。その結果、造林杉の課題点を克服し、プラスに転換する発想など、本試作群で試みた考え方は高い評価を得た。生産者と生活者の隔たりが大きい現代において、大館曲げわっぱのようなものづくりのスタイルは、私たちに限られた資源への切実な想いを伝えてくれるに違いない。そして、このような伝統工芸産地の挑戦が、サステナブルなものづくりの範として、広く社会に好ましい影響を及ぼし続けることを期待する。
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