術前診断に到らなかった巨大肝囊胞の1女児例
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概要
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症例は7 歳の女児.嘔吐および腹部膨満を主訴に当院を受診した.触診で腹部に可動性のある巨大腫瘤を触知した.腹部超音波検査で腹腔内に多房性の巨大囊腫を認めた.CT,MRI では腫瘤は15×20 cm 大で涙滴状,頭側端は胃もしくは十二指腸に連続するように思われた.一部に著明な壁肥厚を認め,同部の血流は非常に豊富であった.壁内の1 箇所に小さな石灰化を認めた.腫瘍マーカーの上昇は認めなかった.以上より奇形腫,重複腸管,消化管GIST,リンパ管腫,悪性腫瘍など疑い手術を行った.囊腫液の吸引を行い,腹腔鏡にて検索を行うことで,原発巣の同定に有用であった.腫瘍は肝尾状葉および静脈管索から有茎性に発生していた.また左門脈と腫瘍の境界が不明瞭で,全摘出には肝切除を必要とすると判断し,頭側端を一部残して摘出した.病理組織検査で肝囊胞と診断された.患児は合併症なく術後7 日で退院し,現在外来経過観察中である.
- 特定非営利活動法人 日本小児外科学会の論文
特定非営利活動法人 日本小児外科学会 | 論文
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