急性腹症で発症した腸間膜脂肪織炎の1 例
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概要
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腸間膜脂肪織炎は腸間膜脂肪組織における慢性非特異的炎症性疾患で,小児では非常に稀である.我々は腹膜炎の診断で開腹手術を余儀なくされた本症学童期例を経験した.患児は発熱と下痢で発症し,次第に腹痛が増強した.初診時には非常に憔悴し著明な筋性防禦を認め,画像所見でも腹水貯留と骨盤腔内の膿瘍形成が疑われたため,子宮付属器炎による汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を施行した.開腹すると,S 状結腸間膜から骨盤腔内の腹膜は発赤・浮腫が著明で広範に散在する白色小結節も認めた.何らかの腫瘍性病変による腹膜播種を疑ったが,腸管・子宮付属器には異常を認めず生検とドレーン挿入のみで手術を終了した.術後,小結節の病理所見から本症と診断された.本症は術前診断が難しく診断を兼ねた手術治療が選択されることも多いが,診断さえ付けば保存的治療も可能であるため,小児腹膜炎の鑑別として念頭に置くべき病態の一つと考えられた.
- 特定非営利活動法人 日本小児外科学会の論文
特定非営利活動法人 日本小児外科学会 | 論文
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